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＊
『先生、よく起きれましたね』
「何それ、俺が朝苦手みたいに」
『え、だって朝苦手でしょ？
朝、美術室で顔合わせる時いつも眠そう』
「...そう？」
『うん。あと1限目も』
「...お前そういうとこばっか見てんなよ」
緊張はしてる、それでも、この時間は落ち着く。
どう考えても普通じゃないこの環境で、
意外と普通に先生と話せてる自分に驚いたりして。
...本当は、もうちょっと、近くに座りたい。
でも、そんな勇気はちょっと足りなくて、
先生との距離は、美術室でのいつもの光景くらい。
まだ、ぼんやりとしか明るくない空。
先生が好きだといった朝凪の瞬間が、
少しずつ、少しずつ近付いてくる。
先生は、前にも誰かとこの景色を見たんだろうか。
この誰もいない海の家にも誰かと一緒に来て、
こんな風にその瞬間を待ったりしたんだろうか。
...それは、前の恋人だったり、とかするのかな。
聞きたい、けどそんなこと聞けない。
だって、わたしは先生の生徒の1人でしかなくて、
そんなこと聞いてしまったら、
先生のことが好きだってバレてしまう。
「言うてしまったら、それはそれやから」なんて、
みっちーは昨日そんなことを言ってたけど。
彼に言われるとそんな気がしてきていたけど、
いざ1人になるとやっぱりそんなこと思えなくて、
どうにかこの気持ちが悟られないように、って。
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作者名：りり | 作成日時：2019年9月1日 20時
