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＊
『どう思う？』
「いや、そんなん聞かれても...ねえ？」
『みっちーだったらどう思うか、って話』
「俺そういう、人の気持ち推し量るの苦手やし...、
しかも相手先生やん、そんなん考えられへん」
...もう、本当に融通きかない、この人。
エプロンを身に着けて手元の本に目線を落とす、
すっきりとしたその横顔を見つめる。
絶対モテるんだろうな、とは思うけど、
彼女ができたとは一向に聞かないから、
意外と性格に難ありだったりするのかな。
いや、でも、わたしがまりあ以外で唯一、
この人に先生への気持ちを打ち明けたのは、
彼がわたしたちと接点のない近所の男子校に通う、
この辺の出身じゃない人だってだけじゃなく、
聞き上手で、意外と考え方が大人で、
ちゃんとしたアドバイスをくれるからなんだけど。
それにしたって、みっちーは真面目すぎるのだ。
「...ちょっと、厳しいこと言うけど。
そもそもAちゃんがそんなゾッコンなって、
リスク冒してまでそこまでするほどの、
その価値が先生への恋にあるのかが分からん」
『...うん、』
「本気やって分かってるし、別に止めへんよ？
けど、いろいろと危険やん、その恋は。
下手したらAちゃんが傷付くし、
それだけと違って、先生も傷付けることになるで」
『...うん。』
「...それに、」
『...うん、』
「...なんか、単純に、俺はAちゃんが心配。」
目線は一切わたしと合うことはないのに、
その言葉の力強さだけはよく分かる。
みっちーはそんな人で、だからこそ信用してる。
『...みっちー、』
「何、」
『ありがとう。あと、ごめんね』
古書店のバイトなんて高校生なんか寄り付かない。
バレなくてちょうどいいと隠れて始めたバイトの、
唯一の同世代がみっちーでよかったな、って。
...何か、改めてそんなこと思ったけど、
そこまではさすがに言わないけど。
でも、きっと、みっち−は分かってくれる。
だってこの人は、わたしの最大の理解者の1人だ。
＊
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作者名：りり | 作成日時：2019年9月1日 20時
