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さっき宮近くんが買ったマグの色違いを右手に、
店を出るころにはもう夕暮れ。
宮近くんの左手の荷物も、
わたしの家に置く用の新しいマグ分増えて、
その紙袋が揺れるたび心はわくわくする。
いつもならちょっと切なくなる、
そんなオレンジに染まるこの空間も、
…もう、寂しくなんてない。
手を繋いで、秋色に染まる街に2人で歩を進める。
並んで歩く、合わせてくれる歩幅にきゅんとする。
「ね、…うち寄ってかない？マグ使ってみようよ」
『…急に積極的だね？』
「…頑張ってんの、分かってよ」
『分かってるよ、ごめんね』
「こっから近いから、俺の新しい部屋。
ちょうどいい気候だし、散歩して帰ろ」
そんな言葉と一緒に、
初めて歩く宮近くんのおうちまでの道。
大通りを抜けて、小さな路地に入れば、
甘い金木犀の香りがしあわせを運んでくれる。
…きっと、まだまだはじめてをたくさんくれる人。
そんな宮近くんの隣はずっとわたしの場所だって、
どこかにそんな直感があること。
そんなことを宮近くんに教えてあげるのは、
もう少し先に取っておこうかな。
『ねえ、夜ご飯おうちで食べよっか。作るよ、』
「え、作ってくれんの？俺カレーがいい！」
『カレー？そんなのでいいの？』
「俺ん家のチキンなんだけど、Aさん家は？」
『うちはポーク。うちのでいいの？』
「うん、食べてみたい！俺も手伝うから！」
『宮近くん、料理するの？調味料ある？』
「…いや、あんまりない…」
『じゃあ、調味料も買おう？これから使うよね』
「…そういうさ、照れるようなことさ、
さらっと言うのやめてもらっていい？」
照れてても、このオレンジの中だから分からない。
でも、思いきりまた顔を赤くしてるのかな？って、
宮近くんの顔を覗き込める距離感が嬉しい。
こんな風に手を繋いで家に帰って、
料理して一緒に食べて、小さなベッドで眠って。
そんな関係になる人が、宮近くんにとっても、
わたしがはじめてだったらいいな。
(リクエストありがとうございました！)
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りり(プロフ) - みやちゃさん» コメントありがとうございます！そんな風に言って頂けて光栄です。阿部くんメインのお話、実は書いてみたいものがあったりします...落ち着いたら更新したいと思っているので、そのときまでお待ちください！今後もお付き合い頂けたら嬉しいです！ (2018年12月24日 21時) (
レス) id: 6193b7c26e (このIDを非表示/違反報告)
みやちゃ(プロフ) - コメント失礼します。りりさんが書くお話がとても好きなので、是非阿部亮平くんメインの長編のお話も待ってます…（´-`）.｡oO (2018年12月24日 17時) (レス) id: 0916b99464 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りり | 作成日時：2018年11月30日 0時
