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初夏の鎌倉の海は、どこまでもきらきらして。
恥ずかしそうに、何となく俯きがちに、
...それでも手は離さずに寄り添って歩きながら。
「俺、多分そんな面白い人じゃないし。
俺なんかといて、楽しそうにしてくれる人、
Aちゃんがはじめてだから、ちょっと不安で」
『...不安？』
「うん。振り回して、嫌いになられたらって」
『...嫌いになんか、』
「なられたら嫌だから！だから、その...さ、
何というか、嫌なことは嫌って言ってほしいし、
でも楽しんでくれてる感じはちゃんと分かるし、
でももしそれが作り笑いとかだったら、
とか考えちゃったりするわけ、俺ネガティブだし」
『...萩谷くん、』
「...ほら、俺と付き合う前告白されてたじゃん。
あいつとか人気あるし、他の人のがよかったとか、
思われたりしたら嫌だなとかさ、何かそういう...」
珍しく、言葉に詰まりながら萩谷くんが話すたび、
不規則にぎゅっと力を込めて握られる手。
「何の話してんだ、かっこ悪...」って、
反射する海に負けないその横顔。
...そんな心配、全くしなくていいのに。
『...萩谷くんは萩谷くんだよ』
「え？」
『わたしが好きなのは萩谷くんだよ。
それも、ちゃんと分かっててくれないと嫌だな』
...女心が分からない萩谷くんも萩谷くんだけど、
もしかすると、わたしの伝え方の問題かも。
萩谷くんに伝わるように、もっと伝えなきゃ。
そう思ってはっきりそう言ったら、
「そういうのすぐ言う！」って照れちゃったけど、
...きっと、こういう恋の形もあっていいよね？
『ねえ、次のお寺、新しい種類のあるかな』
「...新しい種類？」
『紫陽花。わたし、お花とか詳しくないから、
...次のところで、もっと新しいの教えて？』
普通のカップルは、きっと逆なんだろうけど。
でも、その花の名前の数だけ、きっと、もっと、
わたしは萩谷くんのことを好きになる。
だってその名前の数だけ、思い出が増えるでしょ？
...それは、わたしと萩谷くんじゃなきゃ作れない、
わたしたちだけの恋の形だから。
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りり(プロフ) - みやちゃさん» コメントありがとうございます！そんな風に言って頂けて光栄です。阿部くんメインのお話、実は書いてみたいものがあったりします...落ち着いたら更新したいと思っているので、そのときまでお待ちください！今後もお付き合い頂けたら嬉しいです！ (2018年12月24日 21時) (
レス) id: 6193b7c26e (このIDを非表示/違反報告)
みやちゃ(プロフ) - コメント失礼します。りりさんが書くお話がとても好きなので、是非阿部亮平くんメインの長編のお話も待ってます…（´-`）.｡oO (2018年12月24日 17時) (レス) id: 0916b99464 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りり | 作成日時：2018年11月30日 0時
