Love Mixture 3

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本当は、彼と軽口を叩いている暇なんてないのだ。

睨めっこしているのは、…ここの収支報告書。

普段の仕事が忙しくてすっかり忘れていたけど、

毎月出し続けているこの報告書の今月分の締めも、

何なら今年の締めももうすぐそこに来ている。

本来はここを運営してる兄の仕事だけど、

海外転勤なんて言われたら言い返せなくて。

もう1年も、こんなにいろんな人と暮らしながら、

よくこんなことやってるなって、

…あの頃、人と住むのが耐えられなくなって、

彼氏と別れて同棲から逃げ出した事を考えたら、

こんな未来は全く想像もできなかったよね。









…にしても本当、そろそろ集中させてくれない！？









「ねえ、何でそんな冷たいの？優しくしてよ」

『わたしがあなたに優しくするメリットって何？』

「…何か見返りあるかもしんないよ？」

「ないでしょ、翔太そういうキャラじゃない」

「え、阿部ちゃんまでひどくない？」

「俺Aさんの味方だもん。ね？」

『ふふ、阿部くんがこっち側と思うと気が楽』

「何で！？てか阿部ちゃんには優しくない？」

「そりゃあ普段の付き合いがあるもん」

『そうよ、一緒に住んで半年だもんね？』









意外と、意気揚々と入ってきても、

続かない人も多いシェアハウス。

阿部くんはその立場でこの半年間、

みんなに可愛がられて守られているんだから、

それはこの独特な空間の中で

彼がすごく頑張っている証拠だと思う。

その分の関係性を、渡辺くんは知らないんだから！









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