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＊
『...顕嵐、』
「...うん、」
『...キスしたい、』
「ねえ、それは甘えてんの？」
『もう、...！頑張って甘えてるの！』
『...ねえ、早く、』って。
俺のシャツを引っ張って急かす君。
...何だこれ、凶悪に可愛い。
こんな直接的に甘えられると思ってなかった。
驚いた感情のままにキスして彼女の背に手を回す。
『ん...』って、甘い声が漏れて、
彼女の細い腕が俺の背に回った感覚がして。
…あー、もう抑えらんない。
「...ごめん、夜ご飯後にしていい？」
『...うん、』
「あ、グラタン焼き上がっちゃうか」
『いい、...後で焼き直したらいいから、...キス、』
「...お前甘え方それしか知らないの？」
『...甘え方分かんなかったから友達に聞いたら、
「キスとかねだってみたら」って言われたから...』
...誰か知らないけど、ファインプレーだわ。
そのまま抱き上げてソファーにそっと下ろす。
上から見つめると、『...顕嵐、』って甘い声で。
『顕嵐、...好き』
久しぶりに聞いた、真っ正面からの『好き』。
いつも別に聞いてる普通の一言なのに、
...このシチュエーションだと限りなく刺さった。
『...顕嵐は？わたしのこと、』
「そんなの好きに決まってんじゃん...」
『...ならよかっ、！』
「ほんと、あんま可愛いともたないって」
『...だって今日甘える日、』
「そんな甘え方ずるいって...」
だって、そんな顔して俺の腕掴んでさ。
...そんな可愛くて抱きたくなるような甘え方、
されるなんて本当に思ってもなかったし。
「A、」
『...ん、顕嵐、』
「...好き。もっと俺のこと呼んで、」
『顕嵐...、顕嵐、わたしも好き、っ...ん、』
「...ほんとまじで可愛い」
名前を呼んでくれるたび、瞳が揺れる。
赤く染まった表情が、今日の成功を物語ってる。
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作者名：りり | 作成日時：2018年5月13日 22時
