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Episode 5 過去編 ページ7

及川side


その事件は、俺が中学2年の夏休み明けに起きた話だ。


====**====**====**===


俺が、中学2年になったばかりの頃だった。


北川第一中学に、つい先日まで小学生だった新入部員が沢山入ってきた。


その中で特に目を引いたのが、マネージャー志望の女子生徒だった。


「浅井 澪 (あざい みお)といいます。マネージャーとして、一生懸命頑張ります!!」


まだ幼さを残した、舌足らずな声で彼女はそう言った。


彼女は世間的には、可愛いとされる部類に入る容姿の持ち主だった。


ゆったりとした曲線に縁取られた、大きな瞳。
ほんのりと桜色に染まった唇。
振り向くと、サラサラな髪の毛から良い香りが漂う。
それは、人工的な香りでは無く、自然的な花の香りだ。


誰が見ても美少女と感じるであろう。そんな子だった。


性格も、とても良く気が利いた。


それは、いつも俺の周りにまとわり媚びを売る化粧の濃い女生徒とは、また違う気の利き方だった。


裏表のない、曇りのない笑顔で対応してくれた。


「澪ちゃーん!!そこのスポドリ取ってー!!」


「はい!!コレですよね!!どうぞ!!」


「あんがとー!」


こうして、彼女はバレー部の為に尽力を尽くしてくれた。


そうして夏休みに入った。


部活は夏休みの間にもあるのだが、休みが1週間ある。


その休みに入る前日の事だ。


「あれー?澪ちゃん帰んないの?」


俺たちが帰る用意をしている時、澪ちゃんは体操服のまんま、体育館を出ようとしていた。


「あぁ、及川先輩。実は私、夏休み前の課題出し忘れちゃって・・・・・・」


「真面目だねぇー。そんなの夏休み終わってからで良いじゃん」


「いえ、ちゃんと出さないと評価に関わるので・・・・・・」


「そっかー。まぁ、先生にどやされないよう今度からは気をつけようねw」


「はいっ!!ありがとうございます!!」


それが、彼女の最期の笑顔だった。

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作者名:蒼鴇 | 作成日時:2015年7月22日 18時

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