46話 ページ47
…
『…精霊使い？』
em「そうです」
エーミールさんの話はこうだった。エーミールさんはいわゆる精霊使いの元人間。ちなみに精霊使いというのは何かと引き換えに精霊の能力を使える人のことを指すものだ。
em「私、小さい頃から本を読むことが好きだったんです。本の虫で毎日本ばっか読んでて…」
でもある日、急に視力が無くなったんです。真っ暗で何にも見えない…精霊が私の視力を奪う代わりに私に能力を使わせてくれるようになりました
そう言いながらエーミールさんは周りにある本を浮かしてみせた。
em「…最初はショックでした。この世界には点字の本もありませんし本を読む手段なんか殆ど限られてて…でも、精霊との暮らしも悪くないんです。」
em「話は逸れましたが…今、Aさんが帰る方法が無い中、いや、もし帰れなかった時の保険になると思うんです。精霊は選んだ人にしか付きませんが試行錯誤すればもしかしたら…この世界で人間として生きていくのはあまりにも困難過ぎる。元人間の私なら少しだけでも協力出来るかもしれない。」
em「どうですか？いつ、精霊と適合出来るかどうかか分かりませんがやってみる価値はあるでしょう？」
そう言ってエーミールさんはにこりと笑った。周りには蝶の形をした精霊がふわふわと飛んでいる。
…正直、自分にとっていい話でしか無かった。何度か命を狙われてきた身からするとこの世界がどれだけ危険かなんてすぐに分かる。
もし帰れなかったら？運で生き残ったような人間はいつかは死ぬだろう。
でも私が精霊使いになったら本末転倒じゃ無いのだろうか？人間でもなくなった私に誰が価値を見出すのだろう。私が考える人と異世界人が仲良くなんて誰も聞く耳を持たないかもしれない。
『エーミールさん。』
em「答え、決まりましたか？」
『…はい。失礼なのは分かってるんです。身勝手な事も…今はその話は受け入れられません』
em「…そうですか。でも、何となくそんな気がしてましたよ」
『…え、』
em「ショッピ君達から色々聞いてるんで。貴方の変人ぶりは」
『…ショッピの野郎』
em「でも今はって事は少しは考えてくれてるんですよね？」
そうエーミールさんは問いかける。
『…ほんとに身勝手でごめんなさい。でも、皆と過ごす中で一生皆と居たいってなったら、もしその選択をする時が来たら、の時の保険です』
em「…ゾムさん達が振り回させるのも納得やな…」
『え？』
em「いや、何にもないです」
…
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きのこの里(プロフ) - ぱやさん» ありがとうございます！そう言って頂けてとても嬉しいです…！話の進みほんっとに遅いんですがお付き合い下さい😌 (12月29日 9時) (
レス) id: 444b5d04f5 (このIDを非表示/違反報告)
ぱや - とっても面白いです!設定も神がかってるし尊敬します、頑張って下さい! (12月29日 9時) (レス) @page19 id: 9356563dac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きのこの里 | 作成日時：2023年12月18日 23時
