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「Aさん、起きてますか」
「起きてるよ」
「今日は寝るのがゆっくりなんですね」
「うん、ジョングクくんが話しかけてくれるのを待ってたの。」
Aさんは、不思議な人だ
何を考えているのか全く読めなくて
年上の余裕を最大限に見せてくるし
年下の俺は振り回されている
「どうしてですか?」
「お願いごとがあって」
俺はどこに行っても年下だから
何事もやってもらうことが好きだったけど
Aさんに対しては、やってあげたいと思うときがある
厳密に言うと、
俺の今の身体の状態では何もしてあげられないけど。
「ふふ、私から言うのは恥ずかしいんだけどね?」
「うん、何ですか」
カーテン越しだから少し聞こえにくいけど
まだ顔も見たことのないAさんの表情を想像する
笑っているだろうけど、どんな笑顔なのかな
声から考えると、穏やかな笑顔なのかなとも思うし
よく笑うことを考えたら、明るい笑顔なのかなとも思う
「ヌナって呼んで欲しいの」
「…ヌナ、ですか?」
「嫌だったら全然いいんだけど、」
嫌なわけない
むしろ、距離感を少し遠く感じていたから、
縮める方法を考えていたくらい。
「ヌナ、ゆっくり寝てくださいね」
カーテン越しで、良かったのかも。
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作者名:21 | 作成日時:2023年5月3日 12時