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「じゃあ俺たち、お母さんのところも行ってから帰るよ」
「…ありがとう、ヒョン。」
ジミニヒョンとテヒョンイヒョンは
散々病室で騒いでいたけど
俺が行けない分、代わりにお母さんの見舞いに行ってくれた
精神科で入院しているお母さんは
俺よりも長い期間、治療が必要なのかもしれない
正直入院してからは、その事実から目を背けてきた
だけどいつか、正面から向き合わないといけない時が来る
ジミニヒョンとテヒョンイヒョンには感謝をして、
お見舞いのフルーツを、一口齧った。
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「元気な人たちだったね」
「すみません、勉強の邪魔でしたよね」
「ううん、楽しく聞かせてもらったよ」
看護師さんに頼んで、
Aさんにフルーツをお裾分けして
二人でカーテン越しに話をする
「ジョングクくん、いつもは本読まないんだね。
すぐに読み切ったから、本が好きなのかと思ってた」
「あの本は面白かったですけど、本を読んだ回数なんて、人生でも片手に収まるんじゃないですかね」
「ふふ、本当に?(笑)」
十分前とは180°違う静かな空気感の中で
Aさんの心地よい笑い声が響く
「美味しい、この苺」
「そうですね、白苺だから、珍しいですよね」
「…白苺、」
Aさんが最後に小さくそう言ったのは、
俺には届いていなかった。
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作者名:21 | 作成日時:2023年5月3日 12時