光と影【野坂悠馬】 (ページ8)

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野坂｢神崎さん、サッカー部に来てよ｣

毎日毎日

よくもまあ懲りずに

こんなことやり続けますね

神崎｢昨日言いましたよね

サッカー嫌いなんです｣

野坂｢じゃあなんで嫌いなのか

部室で教えてよ｣

神崎｢なんでサッカー部の部室で

サッカー嫌いな理由話さないといけないんですか｣

今日はなんかしぶとい

全然帰らせてくれない

神崎｢はあ……なんで私なんですか｣

野坂｢うーん

気になるから、神崎さんのこと｣

神崎｢なんでまた…｣

野坂｢他の女子とは全然違う

僕を、人を見かけで判断しない子だから｣

まあ確かに

野坂くんの周りにいる人はみんな

野坂くんのことを

｢かっこいい｣とか｢イケメン｣とか

見た目や評判などで判断している

それには

野坂くんもうんざりということ

なのかな

野坂｢それに、神崎さん

サッカーやってたでしょ｣

神崎｢え…｣

どうして

誰も知らないはずの情報を

この人は知っているのだろうか

野坂｢だから、ね？

見学だけでも｣

神崎｢行きません

じゃあどうしたらいいんですか

私も周りの女子みたいに

野坂くんかっこいいとか言ったら

興味なくなってくれるんですか｣

野坂｢っふ、あはは

面白いこと言うね神崎さん｣

神崎｢ちょっと！返して｣

野坂くんにまた

メガネを取られてしまい

さらに視界がクリアになる

顔を

見ないでほしいのに

私は自分の顔が嫌いだ

美人なんて言われるような顔してない

なのに、この顔のせいで

色んな不幸が起こった

そう思いながら俯いてると

野坂くんは

私の頬を

両手で包み

私の顔を上げた

神崎｢え…｣

野坂｢もっと興味湧いちゃった｣

綺麗な顔に

じっと見つめられる

吸い込まれそうな瞳

目が合うことが

怖い

いつの間にか

私は野坂くんを押しのけていた

神崎｢い…や｣

野坂｢神崎さん？｣

私を見つめる蔑むような目

嫌でもフラッシュバックする記憶

怖い

人の目が怖い

野坂｢神崎さん！｣

気がつけば

意識を手放していた