光と影【野坂悠馬】 (ページ26)

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神崎｢どうだった…？｣

野坂｢すごく、いい舞台だったよ

けど｣

神崎｢けど…？｣

野坂｢色んな人がAの顔知って

可愛いとか言ってるのは

ちょっと癪だったかな｣

神崎｢え…？｣

野坂｢今まで、Aの顔を

まともに見たことあるのは

僕だけだったのに…｣

野坂くんは

私の頬に手を添え

少し切ない表情をしている

神崎｢っでも、まだ私顔隠さないと

人と話したりできないし

目を合わせられるのは野坂くんだけだから｣

野坂｢ふふ…ありがとう｣

そう言うと野坂くんは

嬉しそうに微笑んだ

私が誰になんと言われようと

誰が私に関わろうとしようと

私にとって特別なのは野坂くんだけ

でも

それを伝えるには

まだ自信がない

野坂｢どうかした？｣

神崎｢なんでもない！

今日部活は？｣

野坂｢今日は全ての部活が休みだよ

Aのレッスンは？｣

神崎｢今日は…｣

_____________________

先生｢フェスの後はどうせ

野坂くんとデートでもするんでしょ？｣

神崎｢デート！？｣

先生｢だから、その日は

レッスン休みでいいわ｣

_____________________

神崎｢あー、えっと…

今日は休みなんだ｣

野坂｢そっか

じゃあ、どこか行かない？｣

神崎｢え！？｣

先生との会話を思い出したせいか

2人で出かけるとなると

少し意識してしまう

野坂｢嫌なら、いいんだけど｣

神崎｢嫌じゃない！

むしろ、行きたいっていうか…｣

野坂｢ふふ、行こうか｣

野坂くんは私の手を取り

歩き出した

何度手を繋いでも

慣れることはなく

胸がドキドキする

野坂くんは

平然とした顔で私の横を歩く

慣れてるのかな

そう考えると胸が苦しくなる

野坂｢どうしたの、暗い顔して｣

神崎｢あー、いや…｣

野坂｢ん？｣

神崎｢えっと

その…野坂くんはこういうの

慣れてるのかなって…｣

野坂｢え？

ああ、Aが初めてだよ？｣

神崎｢え！？｣

野坂くんはキョトンとした顔で

淡々と答える

なんでそんなに

当然でしょ？みたいな顔をするのか