光と影【野坂悠馬】 (ページ25)

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｢やばっ…｣

｢ダンスが上手いとか

そういうレベルの話じゃない｣

｢目が離せない｣

ダンスは基本

グループで踊ることが多い

1人で踊ることなんて滅多にない

でも今は

舞台に1人

全員が私を見ている

最高に楽しい！

｢なにあれ…｣

｢やばいよ、私たちこの次なんて｣

｢神崎さんって、あんな美人なの！？｣

｢どうする…｣

色っぽいダンスに

かっこいいジャズ

色んなジャンルが合わさったこのダンス

先生、ありがとうね

この振り最高

神崎｢…はあ、はあ｣

曲が終わり

綺麗に決まった

と思ったが

会場は静まり返っている

すると数秒後

誰の時よりも大きな歓声が鳴り響いた

神崎｢っ…ありがとうございました！！｣

｢いや、意外だよな

あの神崎がダンスとか｣

｢しかもめちゃくちゃ美人！｣

｢俺、後で声掛けてみようかな｣

私が舞台から降りても

歓声は鳴り止まない

舞台袖にいた派手な女子たちは

唖然とした顔で私を見ていた

神崎｢つ、次、頑張って…ください｣

上手く話せていただろうか

なんせ、しばらく女子と

普通な会話をしていなかったから

緊張してどもってしまった

不審に思われても嫌だから

直ぐに更衣室まで走っていった

_____________________

舞台も成功して

よかったけど

1つだけ残念だったのは

野坂くんがどこにいるか分からなかったこと

着替えて校舎中を歩き

野坂くんを探す

｢あの、神崎さん！｣

神崎｢え、あ、はい｣

咄嗟に髪を前に回し

できるだけ顔を隠す

｢フェス、お疲れ様｣

神崎｢ありがとう、ございます｣

｢いや、驚いたよな

神崎さんにあんな特技があったなんて｣

｢しかも、めっちゃ可愛いし｣

｢いつもあんな風にしてた方がいいと思うよ｣

神崎｢いや私はこのままで…わっ｣

同じ学年の男の子たちと話していると

何かに引っ張られ

体が後ろに傾く

気づいた時には

私の肩には、見覚えのある腕が回っていた

野坂｢ああでもしないと

Aの魅力に気づかないなんて

所詮その程度ってことだよね｣

神崎｢野坂くん｣

野坂｢顔が綺麗だったからとか

そんな安易な理由で

Aに声掛けないでもらえるかな｣