光と影【野坂悠馬】 (ページ21)

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野坂｢A、部活行くよ｣

放課後になって

野坂くんと話さないようにしようと

机に突っ伏して

寝た振りをする

野坂｢寝てるの？｣

何も見えないが

野坂くんの足音が近づいてくる

すると

耳に冷たい風が当たった

神崎｢ひっ｣

野坂｢あ、起きてるじゃん

さ、早く行くよ｣

こちらに手を差し出す野坂くん

手を取らない私を

少し疑問に思っているみたいだ

神崎｢行かない…｣

野坂｢え？｣

神崎｢サッカー部には行かない

野坂くんとももう関わらない

それじゃあ｣

野坂くんを無視して

教室を出る

つもりだった

が、しかし

野坂くんに腕を引っ張られ

気づいた時には

冷たい壁と野坂くんの間に挟まれていた

両側には

野坂くんの腕があって

とても逃げられそうにない

神崎｢離して…｣

野坂｢離さないよ｣

そう言って

野坂くんは私のメガネを奪う

それでも負けじと

髪で顔を隠したが

野坂くんは私の髪をかきあげ

耳にかけた

視界が開け

野坂くんの真っ直ぐな瞳が目に入る

顔が近い

野坂｢昨日と言ってたこと

全然違うけど？｣

神崎｢…変わったの、考えが｣

野坂｢そばにいるって言ったのに？｣

神崎｢…私と野坂くんじゃ

釣り合わないんだよ

学校の光みたいな野坂くんが

私なんかと仲良くするなんて

無理なの…｣

野坂｢…誰がそんなこと言ったの｣

神崎｢これは私が…｣

野坂｢答えて｣

野坂くんの目は本気で

少し怒っているようにも見えた

私はその目に負けてしまい

事実をすべて話してしまった

野坂｢やっぱり、行かせるんじゃなかった｣

神崎｢…｣

野坂｢僕はそんなこと、1度も思ったことないから｣

神崎｢わっ｣

首の後ろを引っ張られ

私の頭は野坂くんの胸に押し当てられる

野坂｢僕が一緒にいたいから

Aといるんだよ

関わっちゃいけないなんて誰が決めたの

それに、僕にとっては

Aの方が光みたいなものだから｣

神崎｢…野坂くん、ごめんなさい｣

野坂｢で、どうするその子たち

僕が直接手を下してもいいけど

A、君を見下した人たちを

見返してみない？｣