君の猫背に罪科は重すぎた ページ23
小さい頃にいなくなったと言っていた亜月くん。
Aちゃんの3個上の長男坊は、姿を消したのだ。
萩浦 亜月。
死亡届は出ていないが、苗字が変わっていたのだ。
父方の祖父母に引き取られていた。
苗字は変わらず、萩浦だったものの大阪から遠く離れた神奈川に住んでいた。
なーくんとジェルのおかげで今東京にいることまで分かったらしい。
引き取られた原因は病気だった。
父方の祖父母はまともな人達だったらしく、Aちゃんも引き取る予定だったが、連絡が取れず、引き取りに行くといったその日、あえて彼女を連れて出かけていたらしい。
俺は、ジェルと共にその亜月に逢いに行くことにした。
約束をした日。
亜月と思われる人物は俺の家の最寄りにいた。
ジェルにすぐに気がついて駆け寄ってきた。
「なお!」
ジェルの本名を呼ぶあたり、親戚なんだと思い知る。
「亜月くん、久しぶりやな」
「元気そうでよかったわ。」
そう言って俺の方を向くと頭を下げる亜月くん。
「さとみさん、ですよね、ありがとうございます」
「さとみです、ジェルとAちゃんからお話を聞きました」
「…Aは元気にしてますか…?」
「…最近は元気ですよ」
「あいつら、またAになんかしたんやって?じいちゃんから聞いとったけど…」
そう言うとどうやらジェルが話していたらしい。
そして、俺は亜月くんにAちゃんがずっと自分のせいで亜月くんが死んだと思っていることを伝えた。
そう言うと彼は泣きそうな顔でアホやなぁと笑った。
ひとまず会いに行かせてほしいと言われたので、俺の家まで行く。
敢えて、インターホンを押すとAちゃんの声がして、鍵忘れたから開けて欲しいと言うとわかったと、オートロックを空けてくれた。
そして、そのまま家のドアも開けた。
「…え?」
「A…っ!」
そう言って亜月くんは彼女を抱きしめた。
「あ、つ兄…?」
「せやで、お前の兄ちゃんの亜月や」
「え?でも、あつ兄は…」
「死んでなかったよ、死亡届出てなくて調べたんだ。神奈川にいたんだよ、亜月くんは」
俺の言葉に彼女は理解したんだろう。
ボロボロと零れる涙に2人は俺の家で大泣きしていた。
ジェルと俺はただ見守った。
積もる話はまたしよう、と亜月くんは仕事があるらしく話そこそこに帰り、それと同時にジェルも帰っていった。
「探してくれてありがとう、さとみくん」
そう言って笑った彼女は凄くスッキリしていた気がした。
☆
僕を殺すだけの簡単なカルマ→←首筋にジャニス・ジョプリンを飼うひと
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はちみつ(プロフ) - はのさん» 2度もコメントありがとうございます。どちらも読ませていただいておりました!特にこう言う界隈は他界隈への影響も大きので少しでもリスナーの意識が変わったらなーと思いつつ書きました。素敵な作品と言ってくださり、ありがとうございました! (2020年2月3日 2時) (レス) id: fdd37857b4 (このIDを非表示/違反報告)
はの - 二度目のコメント失礼します。完結おめでとうございます!更新お疲れ様でした!!こういうことがありえそうなのが怖いですよね…特にこの界隈は年齢層が低いのでそれも踏まえて、ですよね…考えさせられる素敵なお話をありがとうございました。次回作も楽しみです。 (2020年1月27日 1時) (レス) id: d7c684c614 (このIDを非表示/違反報告)
はの - お話の題名が素敵すぎます…!内容も面白いし現実的で凄く素敵です!こんな素晴らしい作品なのに素敵としか言えない自分の語彙力を恨みます…作者さんのペースで頑張ってください!応援しております!! (2019年9月16日 4時) (レス) id: d7c684c614 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:舘 | 作成日時:2019年8月5日 3時