脳みそに鮮やかなジェラートを ページ21
さとみくんが好きだと気がついてしまうとどうにも意識してしまう。
さとみくんを同じ家にいるのに避けてしまう。
あの日からさとみくんは徹底的に警戒してて、さとみくん経由でジェルくんやほかのメンバーにも話は言った…。
ジェルくんは猛烈に怒って、兄に電話していたけど、まぁあの人が話を聞くはずもなく、怒ってた。
「Aちゃん？」
「え、あ、なんですか？」
「…なんか俺に隠し事してない？」
「え？」
「俺の事避けてるでしょ、今度は何を隠してんの？」
にこにこと笑ってるのに目が笑ってない。
やばい。
これは行けない、避けすぎた。
正直に
好きです。
なんて言えるはずもないから、
誤魔化していこうにもさとみくんは頭いいから騙せない。
「さとみくんが…」
「ん？」
「頼って、と言ってくれたけどどうしていいか分からなくて…」
嘘は言っていない。
事実私には甘え方も頼り方もどうしても分からない。
私にはジェルくんがいてくれたけど、甘え方は知らない。
気がついたら、ジェルくんが甘やかしてくれてるから分からない。
俯きながら白状すると、さとみくんは目を真ん丸にして、そのあとへにゃりと笑った。
手を大きく広げたさとみくんに、私は首を傾げた。
「ん、おいで？」
…推しが大変甘ったるい声でこんなこと言いやがった。
白目向きかけたのは私じゃない推しの子も向いたはず。
なんだよその声。
いい声を無駄遣いだ。
そんなことを思いながらも、気がついたらさとみくんの腕に収まりに行った私も大概だな。
なんならちょっと前までファンに申し訳ないなとか思ってたのに、優越感にひたってる自分がいる。
「Aちゃんがさ、」
さとみくんがハグしたまま私を持ち上げて、歩いてソファーまで行くと膝の上に私を乗せて座った。
どんなご褒美だこれは。
「疲れたな、とか、しんどいなって思ったら呼んで欲しい」
「…でも迷惑じゃないですか？」
「ない、俺が編集とか録画してたら無理かも知んないけど、何時でもいいから呼んで」
さとみくんが頭をポンポンと撫でる。
「俺は君の逃げ場になりたいから」
そう言われて、あぁずるいな。って改めて思う。
小さく、分かった。と応えるといい子。と笑って頭を撫でられる。
好きだとは言えないけど、甘えることを許して貰えた。
私には逃げ場がある。
それがさとみくんなら、それでいいのかもしれない。
高く望んだところでそれが叶うことは無いのだから。
☆
首筋にジャニス・ジョプリンを飼うひと→←舌で転がす7度8分の微熱
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 48人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はちみつ(プロフ) - はのさん» 2度もコメントありがとうございます。どちらも読ませていただいておりました！特にこう言う界隈は他界隈への影響も大きので少しでもリスナーの意識が変わったらなーと思いつつ書きました。素敵な作品と言ってくださり、ありがとうございました！ (2020年2月3日 2時) (
レス) id: fdd37857b4 (このIDを非表示/違反報告)
はの - 二度目のコメント失礼します。完結おめでとうございます！更新お疲れ様でした！！こういうことがありえそうなのが怖いですよね…特にこの界隈は年齢層が低いのでそれも踏まえて、ですよね…考えさせられる素敵なお話をありがとうございました。次回作も楽しみです。 (2020年1月27日 1時) (レス) id: d7c684c614 (このIDを非表示/違反報告)
はの - お話の題名が素敵すぎます…！内容も面白いし現実的で凄く素敵です！こんな素晴らしい作品なのに素敵としか言えない自分の語彙力を恨みます…作者さんのペースで頑張ってください！応援しております！！ (2019年9月16日 4時) (レス) id: d7c684c614 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：舘 | 作成日時：2019年8月5日 3時
