パノラマ・パラノイア ページ18
あのベビーカステラは結局食べきれなくて、持ち帰った。
ベビーカステラを食べる度にさとみくんは笑い出すからあのナンパ撃退は彼にとってはツボらしい。
あの一件以来、さとみくんはベビーカステラを見ると笑うようになってしまった。
ちょっとだけ、失礼すぎない?
今日からすとぷりはリレー放送に入る。
さとみくんの家に同居させてもらってる私はできる限り物音を立てずに過ごす。
いつも通りの生活をしていると、さとみくんの放送が始まった。
癒しというか、睡眠用のBGMでしかない。
私の中でさとみくんの声は酷く落ち着いてしまい、眠くなる。
長男の茅によく似てる。
さとみくんのベッドに寄りかかったまま私はさとみくんの放送を聞きながら眠ってしまった。
「Aちゃん?」
遠くでさとみくんの声が聞こえる。
眠い、眠いのだ、起こすでない。
「寝たの?俺の枠で?まじ?」
「…ん」
「可愛すぎんだろ…っ」
その時、さとみくんが顔が真っ赤であったことをわたしは知る由もない。
目が覚めたとき、目の前にドアップに推しの顔。
誰が叫ばずにいられるのか。
簡潔に教えろ。
「えっ?え?!」
困惑しかしていないと更にその二人の間にひなちゃんがいた。
ひなちゃん!かわいいね!おいちいもん食べようね!さとみくんのお金で!
ゲスくなんかないもん。
さとみくんが寝ている時は朝のうちに洗い物や食事の支度を済ませて、下の郵便受けに手紙を取りに行く。
そこに書かれていたのは唯一私宛の手紙。
手紙を開けてみたら、ただ唖然とした。
「 早急に 実家に帰ってこい 」
それが来たということは、既にここに住んでいることがバレたということ。
それが何を意味するのかわからないほどでもない。
このままここにいたら、あいつらは、きっとさとみくんを誘拐犯かなにかにしたげ上げるだろう。
部屋に戻ったら早急に出る準備をしなくては。
部屋に戻ると眠そうなさとみくんがいた。
「はよ」
「おはようございます、さとみくん」
さとみくんにさとられないようにそっと用意する。
さとみくんの今日のスケジュールは分からないけど、さとみくんが寝た瞬間に出よう。
荷物は最低限のものしか持ってこなかったから幸いばれにくにいだろう。
寝静まるのを待つしかない。
何かを察してしまっているひなやモカちゃんは私の足にいる。
朝ごはんを食べようか、という声に静かに椅子に座った。
嘘つきでごめんね。
☆
辛めのシュガードーナツ→←おつかれさま、みかづきあつめておきました
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はちみつ(プロフ) - はのさん» 2度もコメントありがとうございます。どちらも読ませていただいておりました!特にこう言う界隈は他界隈への影響も大きので少しでもリスナーの意識が変わったらなーと思いつつ書きました。素敵な作品と言ってくださり、ありがとうございました! (2020年2月3日 2時) (レス) id: fdd37857b4 (このIDを非表示/違反報告)
はの - 二度目のコメント失礼します。完結おめでとうございます!更新お疲れ様でした!!こういうことがありえそうなのが怖いですよね…特にこの界隈は年齢層が低いのでそれも踏まえて、ですよね…考えさせられる素敵なお話をありがとうございました。次回作も楽しみです。 (2020年1月27日 1時) (レス) id: d7c684c614 (このIDを非表示/違反報告)
はの - お話の題名が素敵すぎます…!内容も面白いし現実的で凄く素敵です!こんな素晴らしい作品なのに素敵としか言えない自分の語彙力を恨みます…作者さんのペースで頑張ってください!応援しております!! (2019年9月16日 4時) (レス) id: d7c684c614 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:舘 | 作成日時:2019年8月5日 3時