“市“国は世界会議に出るそうで。【ＡＰヘタリア】 (ページ10)

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Episode Ⅶ ページ10

…懐かしい、夢を見た。

私が小さい頃の。

『…ん…』

幼い頃の記憶なんて、泡のように消えていっていたのに。

こんなに年を歩んでいくと、いずれはなにかを失って、またなにかを手にしていく。

それは、記憶をなくして、国民を手にする。

そんな意味だと、思える夢になっていた。

「…あ、バチカン。起きた？」

兄ちゃんとイタリアが話してる。

けど、私に気付いたイタリアが、声をかけながら近寄ってくる。

『…おはよう』

小さく、すこし掠れた声を出し、精一杯に挨拶をする。

兄ちゃんも、反応して近寄ってくる。

待っててくれたのかな。

「おはよう！兄ちゃんがね、バチカンのこと待ってよう、って言ったんだよ！だから待ってたの！」

「バッ…ちげーよ！バカ弟！俺はバカな妹が迷子にならないか心配だっただけだ！」

怒りながらも言ってくれる、私を心配しているという発言に、思わず頬が緩んでしまう。

『ふふ、ありがとう。帰ろっか。』

軽く背伸びをしてみれば、ずっと同じ体勢だったからか、少しぴき、と音がして。

年ではないと思うけど。

だってまだ９０年くらいだもん。(⚠充分年です)

まぁ、そんなことはどうでもいいとして。

立ち上がれば、少しだけ欠伸が零れる。

そんな事気にせずに、うん！と私を見て頷き、兄について行き歩き始めた、すこし頼りない、すっかり大きくなった背中について行った。