“市“国は世界会議に出るそうで。【ＡＰヘタリア】 (ページ9)

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Loqui de praeterita ページ9

『…きょうも、せかいかいぎ、いっちゃうの？』

「…バチカン？」

私の、小さい頃だ。

この頃は、まだ、自分が国だということ、そして、自分の兄たちも国だということを、理解していなかった。

だからこそ、いつものように、迷惑をかけるような発言をしていて。

か細く、泣きそうな声でいう私は今でも泣き出しそうな。

だめだよ、これじゃあイタリアが心配するでしょ。

『…わたし、おにいちゃんともっとあそびたい…！』

「…バチカン。すぐ帰ってくるから！ね、帰ってきたら、たくさん遊ぼう？」

あぁ…。そっか。この頃は、まだ、【お兄ちゃん】って呼んでたんだっけ。

後ろの方で兄ちゃんが溜息をついてるよ。気付かないの？

『ロマにいちゃんも…いっちゃうんでしょ…？わたし…ひとりはやだよぉ…』

小さい頃はこんなに泣いてたんだなぁ。
それに、こんなに迷惑かけてる。

１人くらい、慣れてるでしょう？

…この頃の私の家には、人があまりいなかった。

いまもだけど…

この頃は、三十人いるか、くらいで…

遊ぶにしても、まだまだ小さかった私は、無闇やたらと外に出ることを禁止されてたんだっけ。

だからこそ、自分の兄で、近接国？であるイタリアと兄ちゃんが、とても大事なんだったっけ。

「…バチカン。あのね、俺も兄ちゃんも、ほんとはバチカンと遊んでたいよ。けどね？俺兄ちゃんには、バチカンもいるこの国を、守らなきゃいけない仕事があるの」

この頃のイタリアは、自分が国だということに１番自信を持ってたかな？

ヘタレなのに、一生懸命で、自信満々だった頃だ。

『…おにいちゃんがおしごとしなかったら、どうなっちゃうの？』

「……俺も、兄ちゃんも、ここも、全部、消えちゃう」

…イタリア。

それは、冗談だけど、冗談じゃないよね。
でもね、小さい頃の私は、信じちゃうんだよ。
だから、無闇やたらとそんな話を向けないで。

ほんとに、怖くなっちゃうでしょ

『…！おにいちゃんがきえちゃうなんてやだっ！わたしがここでおるすばんしてれば、おにいちゃんきえない？』

ほら、言った通り。
慌てちゃってるじゃない、昔の私。

「うん」

イタリアは、満足そうに笑い、まだボブヘアー程だったふわりとした髪をぽんぽん、と数回撫でて、視線を合わせるために屈んでいた姿勢を直せば、一言だけ言って、門へ向かっていった。