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最悪なのが二人も揃ってしまった。こんなのに囲まれたら行く道も帰り道も逃げ道までも閉ざされてしまったのと一緒だ。
「呼んでないです……」
フロイド「え〜？呼んでたじゃん、リーチせんぱぁいって」
「それはそっちのリーチ先輩じゃなくて！」
ジェイド「おや、私もリーチなんですが」
「分かってますからどいて…！」
前にはフロイド･リーチ先輩、後ろにはジェイド･リーチ先輩がじりじりと私に近づいて、気が付けば通せんぼどころか前にも後ろにも一歩も動けないほどまでになっていた。早くしないと。イソギンチャクたちの仕事を引き受けたのは私だし、イソギンチャクたちは今休憩してもらっているから、私しかその仕事をする人がいない。とにかく急がないとモストロラウンジが回らなくなっちゃう。
「先輩…」
フロイド「あぁ？何その声〜。怒ってんの？」
「おこっ…？！怒ってないです…！全然！でももう急がないとお店が回らなくなっちゃう…」
ジェイド「フフフ、うちにはイソギンチャクがいるので大丈夫なはずなんですがねえ」
フロイド先輩の周りの空気が冷えたのを察知して冷や汗をかいていると後ろからもガシッと両肩を掴まれる。もう、なんでこんな目に…。
含みのあるジェイド先輩の笑い声に背筋が凍りつく。この二人、もしかして私がイソギンチャクたちのお手伝いをしているのを知っている…？
「……あ、…えっと……」
フロイド「ん〜？なぁに小エビちゃん、顔が真っ青だよ？」
ジェイド「フフ…大変でしたね、Aさん。何もイソギンチャクの分まで働いてやることは無いのに、お人好しですねぇ。きっと、今にアズールがイソギンチャクを懲らしめに____」
ニコニコ。ニコニコ。もう震えが止まらない。
それに今聞き捨てならない言葉が聞こえた気がする。え？イソギンチャクを？懲らしめる…？
瞬間、裏の方で微かにアーシェングロット先輩の冷たい声が聞こえた。
アズール「お前たち、何故休んでいるんです」
「「ひぃっ…？！」」
ああ、もう“懲らしめに”来たのか。と察した。イソギンチャクたちは悪くないのに私が出しゃばったせいで。そもそもリーチ先輩二人が私の邪魔をしたせいで…！
少しすると「うわああああ！！」「イテテ！！」「どうかお許しを！！」「すみませんでしたあ！！」と“懲らしめ”られたイソギンチャクたちの阿鼻叫喚が聞こえてくる。罪悪感で押しつぶされそう。イソギンチャクと一緒に懲らしめてもらったほうがまだマシだ。
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作者名：くまさん | 作成日時：2021年1月25日 14時
