12 ページ12
.
7人が帰ってからふと考える。
「私何やってんだか」
いつどこで誰が見てるかわからないのに、
彼らは“アイドル”なのに。
心のどこかで
バレなければ平気なんて思ってる自分が嫌になった。
バイトが終わり家に帰ってテレビをつけると
ドラマがやっていた。
街でよく見かけるポスターの俳優さんが言う。
『こんなに好きになったのは初めて』
私はその言葉が世界で一番嫌いだった。
高校一年のとき、ふたつ上の先輩にそう言われたことがある。
私は好きじゃなかった。
その先輩についてあまり知らなかったし興味もなかった。
だから「ごめんなさい」
と伝えた。
次の日学校に行くと、
私の周りから人がいなくなった.
どうやらその先輩は
学校1の人気者だったらしい。
振られた腹いせに先輩がデマを流した。
『男をたぶらかしてる』
『遊び人』
『昔同級生に酷いいじめをしていた。』
他にもたくさんあることないこと言われた。
私はその環境に耐えられなくて
逃げるように東京に出た。
親にはちゃんと説明した。
私の親は会社を経営している。割と有名で、
会社名を言えば誰もがあー。となるレベルだろう。
会社のことがあるから
親は簡単にそこを離れることができなかった。
『Aが苦労しないようにお母さんたちが
なんとかするから、
何かあったらすぐに言いなさいね。
ごめんね、A。そばにいてあげられなくて。』
「平気だよ。お母さん、心配かけてごめん」
『お父さんが家借りてくれたからそこに住みなさい』
そして住み始めたのがここ。
一人暮らしには十分過ぎるくらいの広さ。
昔を思い出していたら気分が悪くなったので
コンビニに買い物に行くことにした。
445人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:げん | 作成日時:2020年11月8日 19時