喧嘩と殴るの趣味だけど問題ある？【灰谷兄弟】

15喧嘩 ページ17

Aside

プツン

自分の中の何かが切れる音がした

『そうだね、一石二鳥だ』

ガンッ!!

私は母の頭を掴んで思い切り柱の角にぶつけた

歯「な、何するのよ！？」

『何をするか？そんなの決まってんじゃん…アンタを殺すんだよ』

母親「ヒッ…!!」

今までは母親だからと思い、我慢していた

蘭ちゃん達の言う通りだ

我慢していたんだ

なら、これからは我儘になってもいいよね？

『酒に溺れて、子供を殴って、旦那を殺して。てめぇに生きる価値なんてねぇよ』

抵抗をする母親が目の前にいるのに、私は何とも思わない

だって、もう要らないんだもん

母親「アタシはアンタの母親なのよ！」

『母親？』

母親「そうよ！だから──」

『違うよ』

ドンッ

言い訳をしながら叫ぶ母を、私はいとも簡単に捩じ伏せる

喧嘩し慣れてる私に母が勝てる訳ない

しかもうつぶせ

でもこれじゃダメだ、何か致命傷を与えられる様なものが欲しい

『何か……あ』

あるじゃん、いいモノ

母親「ちょっと、A……？何で、”包丁”なんか持ってるの…？」

『……』

母親「A、冗談よね？」

『…冗談じゃないよ』

グサッ

母親「いっ、ぎゃあああぁぁぁぁぁあ!!!!」

足に傷を負わせれば、そう簡単には逃げ出せない

我ながらナイスアイデア

『痛い？』

母親「ぃ、痛い…痛い、から……！」

『そりゃ良かった、痛くないよ意味がないからね。これで終わりじゃないよ、分かってるよね？』

母親「もう止めてぇ……!!」

『今でも覚えてるよ、アンタが男を連れ込んで真冬に追い出された。寒さで足が切れて、痛かったなぁ』

私が話すだけで怯える母

何て素晴らしい光景

あの母が、私をずっと苦しめてきた母が

倒れて血を流してる

『アンタは母親じゃない、私がずっと母親だと勘違いしてただけだった。わたしに母親はいない、だから母親でもないアンタは要らない』

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