59話 ページ29
蘭堂「あぁ……うむ、その……少なくとも、君たちがマフィアの拷問官に大変向いていることだけは判った……」
蘭堂はひくひく動く唇の端を意志の力でどうにか抑えながら言った
蘭堂「しかし、中也君をこの会場まで呼び寄せる方策は?」
太宰「大丈夫、羊こ何人かを騙して仲間を集めさせ、ホンモノの宴に偽装する。その辺の準備もAとほぼ完了してる」
蘭堂「はぁ、そうかね……さすがは森殿の懐刀……」
『ボスには小さい頃から《人の嫌がる事を進んでしましょう》とよく言われて育ったからね!』
蘭堂「意味が違う……」
飾り付けを終えた太宰とAが、手の汚れを叩きながら蘭堂の元へと戻ってきた
太宰「第一ね、羊と中也は一度しっかり仲違いした方がいいよ」
太宰は歩きながら言った
太宰とAは仲違いの理由、そしてその例え方として《生焼け肉理論という物を説明した
蘭堂「はぁ……つまり……個々人が個人最適を追求していった結果、全体最適が損なわれること……そしてそと不幸状態をつくりだした構成員には、もはや全体の不幸を取り除く手段がないこと。そういう状態の事か」
蘭堂は首を捻った
蘭堂「それが羊にも起こっていると?」
太宰「うふふ、彼等のいいところは、自分達が食べているのが生焼け肉だと気づいてすらいない事だ。大変面白いおもちゃだよ、羊と中也君は。あんなものが沢山見られるとは、裏社会というのも中々楽しい場所だ」
『生焼け肉だと気づかず食べている、何も知らずにいる事は楽しく幸せで愚かだ。彼等は幸せでだねぇ、生焼け肉だと気づかず沢山食べられて、あははっ!』
太宰とAは楽しそうに笑った
60人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:エリウ | 作成日時:2020年6月20日 22時