55話 ページ25
太宰「そのくらいにしてあげなよ、羊さん」
太宰は横から口を出した
中也「中也は自分の異能をどう使うのか、決められる。君達のお守りをするより大事な事が見つかったんだ。祝福してあげないと」
羊達は、信じられないという目で中也を見た
「おい中也……本気かよ?お前の能力がなきゃ、羊の反撃主義は成り立たないぞ。舐められたら、縄張りは一週間で潰される!それともお前……」
銀髪の少年が、一歩下がった
「お前……まさか、噂は本当なのか?お前が羊を裏切ったって……仕事を成功させたら、褒美にマフィアの一員にして貰えるって噂は……」
中也「マフィアは関係ねぇ。こいつは俺の問題だ」
「本当かよ?どうやってそれを証明する?」
太宰「証明は不可能だよ。君達に出来るのは信じる事だけだ」
太宰が間に入った
太宰「でもそれで十分だろ?仲間なんだから……ほら行った行った」
これ以上要求しても無駄だと悟った三人組は、太宰に促されるようにして不承不承離れていった
硬い表情の中也を、時折振り返りながら
「忘れるんじゃないぞ、中也。昔──どこからともなくふらっと現れた、素性も身寄りもないお前を受け入れたのが、僕達羊だったって事をさ」
『グダグダとうるせぇな』
気づけば銀髪の少年はAに顔を捕まれ、クレーンゲームの壁に押し付けられていた
太宰「さすがA、動きが早いね」
中也「おい!」
銀髪の少年を壁に押し付けたAに中也が焦った
『殺さないって、ただ……少しムカついただけ』
十五歳とは思えない程の暗く冷たいAの目に、羊達は体がすくんだ
『さっきから聞いてりゃ、敵をぶっ飛ばすだの、反撃だの。全て中也がいないと何一つ成り立たない、何も出来ない守れない。それはもはや組織でもない、ただの臆病者の集まりだ』
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作者名:エリウ | 作成日時:2020年6月20日 22時