52話 ページ22
「は?」
銀髪の少年が莫迦にした顔で太宰とAを見た
「例の噂か?ださら、そんなの有り得ないんだよ。中也がマフィアに屈するなんて、ある訳が……」
言いながら中也を見て、その重い表情から何かを悟ったらしい
「……マジかよ?」
と呟き、中也から手を離した
信じられないように一歩下がる
「中也、何かの冗談だろ?それとも作戦か?マフィアを油断させて中から破壊するとか……」
中也「いいや、本当だ」
中也は硬い声で首を横に振った
中也「マフィアのボスは本気だ。あれを出し抜いて裏切るのは簡単じゃねぇ。監視の目もあるしな」
中也は視線で太宰とAの方を指し示した
数秒あって、事態を理解した羊達は思わず後ずさった
「このガキ共が……!?」
三人の羊達は思わず数歩距離を取った
構成員と何度か衝突した事はあっても、ボスの直属部下と実際に会うのは初めてだった
太宰「そういう事。以後、宜しく」
Aはクスクスと笑っている
「お……おい中也!何ぼさっと立ってんだよ!監視って事はこいつら、ポートマフィアのボスの部下なんだろ?さっさと痛めつけて人質にすれば交換に……いや、いっそ殺しちまえば」
『君達が僕を?殺す?』
Aは少し声を低くする
羊達はビクリと体を震わせた
『たかが銃やナイフで武装した子供が僕に勝つ?自分の実力じゃ適わないかどうかも分からないなんて、可哀想な羊さんだ。安心しなよ、君達に危害は加えない。君達が”僕を怒らせなければ”の話だけど』
「っ……中也!早く殺っちまおうぜ!」
中也「無理だ」
「中也…?」
中也「こいつには、俺でも勝てねぇ」
「何言ってだよ、お前の重力なら!」
『無駄無駄、君達大事な部分に気付いてないよ』
Aの言葉が理解出来ていない羊達
『たかが銃やナイフで武装した子供、って言ったよね?僕を見てみなよ、君達と違って武装はしていない。何で武装をしていない僕に、君達が適わないと思う?』
中也「……」
60人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:エリウ | 作成日時:2020年6月20日 22時