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103 ー千寿朗sideー ページ9

―千寿郎side―



槇「女中の分際で、勝手に口出しをするな。

  くだらない」



父がAに対して

やけに攻撃的であるのは既に100も承知である。



しかし、毎度毎度父がAに対して

棘のような言葉を被せるたびに

僕の胸はこれ以上ないくらいに締め付けられる。



この凍った空気が嫌いだった。


何よりも、何もできない自分が嫌いだった。



先程まで大声で喚いていた春蘭も

事態の深刻さに気がついたのか、


すっかり泣き止んでしまっていた。




杏「……」




すると兄は、父の視線からAを隠すように、

Aの一歩前へと出るのだった。



こういう時の兄の表情は、

やけに落ち着いたものである。




最近、兄は父と似たような

殺気に近い貫禄を醸し出すようになった。



そんな風に感じるのは

僕だけだろうか。



Aを庇う際の兄。



彼の表情を前にした時は、

弟である僕でさえも

何も言えなくなる。




槇「………」



兄と父の一触即発な視線のぶつけ合いを前に

時間の流れは止まる。



杏「っ」


ついに兄が何か言葉を発しようとしたその時、

Aが兄の腕を引いた。








…いつも、Aだけなのである。


少し暴走してしまいそうな兄を止められるのは。




父と兄の間合いに入れるのも、

Aしかいない。



いつだって、Aだけだった。


 

104→←102 ー千寿朗sideー



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設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎 , 宇髄天元   
作品ジャンル:恋愛
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あいふぉん - 初めまして。とても素敵なお話で一気に読んでしまいました!!煉獄さんが本当にかっこよすぎて夢主が可愛すぎてっっ!!続き楽しみにしています!! (2021年10月5日 0時) (レス) id: 367ee183e7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わたあめ | 作成日時:2021年8月27日 20時

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