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130 ー杏寿郎sideー ページ37

―杏寿郎side―


杏「不知火」


いつもの助走で。

いつもの力配分で。

いつもの呼吸で。


それであるのにも関わらず、

刀にかかる負担が違い過ぎる。



杏「くっ…」


それもそのはず、

この手にあるものは竹刀である。


致し方ない。


これ以上竹刀を庇うように動くと、

俺自身の体が危ない。


竹刀が折れるのが先か。

腕が折れるのか先か。



人を守るためならば、

俺は何本でも骨を折る。


しかし、今回は竹刀と右腕。


冷静に天秤にかける必要があった。



杏「っっ!!」


鬼の力に負けた竹刀が折れ、

破片は暗い空へと消えていった。



鬼「バカめ!!
 
 舐めた刀を使うからだ!!」



嬉しそうに笑う鬼を前に、

俺の腕は負担から解放される。



これでいい。

腕は動く。

大丈夫だ。



落ち着いて状況を把握した。


今回の鬼は、特別な血鬼術を使うわけではない。


鬼狩りをこの手で殺したいという

熱量だけで動いている。


確かに数多いる鬼の中では、

よく鍛え上げられた格闘術を持っていた。



…しかし、問題はない。


杏「炎の呼吸」


素手でも、勝てる。



心でそう叫んだ俺は、

自身の拳に全神経を注ぐのであった。



鬼「面白い」



杏「参の型!!!」


手に残った竹刀の破片を投げ捨て、

鬼の急所だけを見つめる。


息を吸い込み、

気炎万象と叫ぼうと口を開くと、


目の前に綺麗な女体が宙を舞った。



反射的に踏みとどまる俺の足、

拳の力が分散していくのも感じた。



A「杏寿郎さん!!」



空中でありながら姿勢を変え、

俺に日輪刀を投げ渡す。


その体幹は称賛に値するものであった。



杏「うむ」


Aの努力が無駄にならぬようにと、

俺は空中を飛ぶ日輪刀を

しっかりと掴み取る。



鬼「なんだ!?女の剣士か?」


鬼が混乱している不意をつく。

俺は今すぐにでも攻撃に出よう。


鞘から日輪刀を引き抜くと、

月光が美しく反射した。



A「遅れてすみません」


杏「構わない。

日輪刀、感謝する」



戦場にてAの状態を確認することは

優先事項に値する。



俺は、一瞬の間に

鬼からAへと視線を移した。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎 , 宇髄天元   
作品ジャンル:恋愛
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あいふぉん - 初めまして。とても素敵なお話で一気に読んでしまいました!!煉獄さんが本当にかっこよすぎて夢主が可愛すぎてっっ!!続き楽しみにしています!! (2021年10月5日 0時) (レス) id: 367ee183e7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わたあめ | 作成日時:2021年8月27日 20時

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