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― Aside ―



平穏と言えば、平穏である。

しかし、波乱と言えば、毎日が波乱である。



突如訪れた、小さなツインテールの少女は、

この煉獄家の日常を180 度変えていた。



千「Aさん、

お砂糖はこのくらいでよろしいですか?」


私と二人で台所に立つのは、

今日は千寿郎であった。


鍋の蓋を開けた彼は、小さな台に乗りながら

私にそう尋ねてくる。



私はすぐさま手を止め、

彼の元へ歩み寄った。



A「味付けは、

  千寿郎さんのお好みで良いのですよ?」



千「僕は、Aさんの味付けが好きなので、」







ガッシャーン


落ち着いた夕暮れ時には考えられない物音に、

千寿郎は肩を窄めて固まってしまう。


彼の掌から落っこちてしまいそうになった砂糖の瓶を

右手で支える。



それから私は左手で鍋の火を止め、

台所に千寿郎を残したまま

音が鳴った方へと早歩きで向かう。



夕焼けに染まる渡り廊下を風のように通り抜け、

その襖を開ける。



夕日が差し込んだ杏寿郎の部屋には、


バラバラに破壊された硯と

墨を頭から被った杏寿郎。



そしてやってしまったと苦笑する春蘭の姿があった。



杏寿郎の髪から滴る墨汁は、

畳の上に広がった鬼殺隊の書類にポタポタと

絶え間なく落ちる。



心配そうに私の顔色を伺う春蘭には目もくれず、

私は手持ちの手ぬぐいを取り出し、

杏寿郎に駆け寄る。




A「お怪我は?」



彼にそう尋ね、彼の髪を優しく拭き始めた私は、

ここで春蘭に雷を落とさなくてはならないと

腹を括った。



失敗は誰でもするもの。

おそらく杏寿郎もこれからそう言うだろう。



実際、

私もこれまで幾度となく失敗に失敗を重ねてきたので、

人のことを叱れる立場ではないのかも知れない。



…..しかし、これだけは許してはいけない。



出来たばかりの切り傷が

杏寿郎の額にあるのを私は見逃さなかった。





何かを察したのか、

気まずそうに私の顔色を伺う杏寿郎と目があった。

118 ー杏寿郎sideー→←116



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設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎 , 宇髄天元   
作品ジャンル:恋愛
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あいふぉん - 初めまして。とても素敵なお話で一気に読んでしまいました!!煉獄さんが本当にかっこよすぎて夢主が可愛すぎてっっ!!続き楽しみにしています!! (2021年10月5日 0時) (レス) id: 367ee183e7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わたあめ | 作成日時:2021年8月27日 20時

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