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―Aside―
A「長風呂でしたね。
疲れは取れましたか?」
朝ごはんを食卓に並べていると、
熱った杏寿郎がスタスタと戻ってきたので
そう声をかけた。
杏「ああ!!
とても!!!」
いつもよりも覇気のある声に、
よそよそしい態度。
食卓に腰を下ろした彼を前に、
私は怪訝に思い、眉をひそめる。
朝ごはんを全て並べ置いた頃には、
風呂場掃除に行ったはずの春蘭が
大きな足音を立てて戻ってきた。
春「杏寿郎さん、湯を変えるのは二日に一回ですよね?
どうして湯栓を抜いてしまわれたのですか?」
風呂掃除のために捲り上げた袖を
もう一度捲り上げながら
春蘭は純粋そうにそう尋ねている。
朝食を頬張りながら、戸惑う杏寿郎を前に
なんとなく察した私は
沈黙にならぬようにと口を挟んだ。
A「春蘭、湯栓を抜かれたら湯船まで掃除する。
私たち女中の仕事はそれだけです。
それから濡れた足で
屋敷内を歩き回らないこと。
濡らしてしまった床は
全て後で拭いておきなさい」
終始ぽかんとした春蘭は、
その後不服そうな表情を私に見せつけながら
その場を後にした。
…誤魔化すためとは言え、今の言い方は
あまり良くなかったのではないか、
そう反省した私は頭を右手で頭を抱える。
他人を教育することの難しさは
今しがた消えない。
ため息を吐きそうになっていると
空になったお茶碗が、
俯いた私の視界の中に入り込んでくる。
杏「………」
顔を上げると、
お茶碗を私に差し出しながら
申し訳なさそうな顔をする杏寿郎と目が合う。
しばらくはこんな毎日が続いた。
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あいふぉん - 初めまして。とても素敵なお話で一気に読んでしまいました!!煉獄さんが本当にかっこよすぎて夢主が可愛すぎてっっ!!続き楽しみにしています!! (2021年10月5日 0時) (レス) id: 367ee183e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わたあめ | 作成日時:2021年8月27日 20時