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86 ―炭治郎side― ページ41

―炭治郎side―



立ちこめる炎の渦に視界を奪われながらも、

先程から展開される目の前の戦闘に

俺は圧倒されていた。




言葉を失うとは、まさにこのことであった。




炎に身を包ませながら戦うAと杏寿郎の動きは

速すぎて肉眼に留めることができない。




しかし、彼らの一つ一つの行動全てが

この闘いの歯車を担っていることはわかった。




杏寿郎がAを空に投げ出して鬼を追わせる際、

着物の隙間から下着が見えないように

杏寿郎がその体で必ず隠す。


またAが着地する際には

脚への負担が軽くなるように

杏寿郎が必ず肩を貸す。



彼ら二人の小さな行動一つ一つが重なって、

ようやく一つの巨大な意味を成す。



共同戦闘のコンビネーションの頂点である。



鬼殺隊の精霊とは名ばかりではない。


彼女は微塵も呼吸を荒げずに、

その身を動かし続けている。




負傷した隊士たち「すごすぎる….。

  あれが鬼殺隊の精霊」



  「俺初めて見たけど、あれは柱以上だろ」


  「炎柱様の出番がねぇぜ」




彼女の掌から槍が離れ、

鬼の頸に届くまでの時間はきっと0.1秒にも満たない。



どれだけ早い瞬発力を持っていても

あの命中率と速さには対応できないだろう。



一回の攻撃で使うエネルギーは計り知れない。


それでいて彼女は平然とした表情で

その攻撃を何度も繰り返すのだ。





しかし、忘れてはいけないことがある。




Aの華奢な体があまりに美しく舞うので

彼女ばかりが戦っているように見えるが、


実際のところそうではないのだ。




彼女はあくまでも杏寿郎の補佐だ。

それ以上でもそれ以下でもない。





杏寿郎が完璧なタイミング、ポジションで

その実力と剣術を発揮できるように


彼女が完膚無きまでに徹底されたサポートを繰り広げているのである。




まるで一種のパフォーマンスを見せられているような戦式であった。




お互いがお互いを守ろうとする、強い匂いがした。



本当の意味での信頼関係を築けた者にしか

辿り着けない境地である。



互いの動きを読み込み、察する力が神格的だ。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎 , 宇髄天元   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:わたあめ | 作成日時:2021年5月4日 20時

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