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―Aside―



杏「何かわかったか!」



彼の隣にそっと着地すると同時に、

せっかちな質問が襲ってくるのはいつものこと。




A「はい。

 
  1体と聞いていましたが、

  被害場所の分離性から見て、

  分裂していると考えて間違いないかと。



  負傷した隊士の傷口を確認したところ、

  相手は確実に急所を狙ってくる

  頭の良い鬼です」




人気のない商店街のど真ん中で腕を組み、

堂々と構える彼に、

私はできる限り頭を回転させて伝える。




杏「なるほど!なるほど!」



A「術にかかると視力障害を起こします。

  厄介なので、

  一滴も血を浴びないようにしてください」





完全に戦闘モードに入ってしまった彼は

目を見開いたまま遠くを見据え、

こちらを向くことはない。




杏,A「!!」


 
鬼の気配に二人の瞳孔が開く。


心臓が限界まで速度を上げて、

血流を早める。


肺に大量の空気が流れ込む。





杏「わっはっは。

  これは数が多すぎるなぁ、A。



 …A、背中を任せる」





『背中を任せる』





彼が私にだけ言うセリフに、

さらに心臓の動きが激しくなるのを感じた。




A「はい、杏寿郎さん」



彼の左手の親指が、刀の鍔に触れるのに合わせて

鎖武器を腕に強く巻きつける。




彼の呼吸のリズムに合わせて

私も習得した呼吸をする。




杏「まず本体を探す。

  見つけ次第報告するように」



A「はい、杏寿郎さん」




ここから彼と一歩でも違う動きはできない。


全瞬間、全細胞を、彼の動きに合わせる。



彼の動きとズレることは死を表す。




杏,A「炎の呼吸、壱の型」



闇に溶け込んだこの場所に、

二人の声だけが一寸のズレなく重なる。




鞘から抜いた彼の日輪刀が光るとき、

私の鎖武器にも月光が届く。




杏,A「不知火」

85→←83 ―炭治郎side―



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設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎 , 宇髄天元   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:わたあめ | 作成日時:2021年5月4日 20時

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