82 ―炭治郎side― ページ37
―炭治郎 side―
炭「煉獄さん!!!」
彼の後に続こうと、
屋根の上に身を乗り出そうとすると、
信じられないほど強い力でAに腕を引かれる。
力負けした俺は、
そのまま元の位置に強制的に戻される。
炭「俺も戦えます!!!」
俺の腕を離さないAを前に、そう叫んだ。
しかし彼女は何も返答することなく、
真っ直ぐに俺を見つめたままである。
透き通るような右瞳に見つめられると
声も出なかった。
炭「っ…///」
次の瞬間、彼女は柔らかな手は俺の輪郭を包み、
顔を覗き込まれる。
呼吸をするもの忘れた。
A「炭治郎、あなた視覚障害を持っているの?」
その言葉の意味を、
思考停止しかけた脳で処理するのには
少し時間がかかった。
炭「いっ、いえ。
…でも今は血鬼術にやられてしまって」
しどろもどろな日本語に
Aは真摯に対応してくれる。
A「瞳孔が正常に機能していない。
このままでは術が解けた後にも
影響してしまうから
出来るだけ目を閉じてなさい」
彼女の温かい掌が
俺の両瞼を優しく押さえる。
彼女からはやはり責任感の匂いと
それと同時に強すぎる優しさの匂いがした。
一度会っただけの、ただの隊員の名前を
間違えずに覚えてくれている。
正直それだけのことだが、
不甲斐ない気持ちに支配されている俺にとっては
とても救われることだった。
A「あとは私と杏寿郎さんでなんとかするから」
優しく頭を撫でた彼女は
今まで見たことのない笑顔を俺に向けるのだった。
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作者名:わたあめ | 作成日時:2021年5月4日 20時