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-Aside –



杏「昨晩、鬼からの攻撃をくらったのは腰だったな。

  具合を確認する」



あまりに淡々と、

いつも通りに彼がそう告げるものだから、

変に意識してしまっていた自分を恥ずかしく思う。



それがさらに頬を紅潮させる。




それから大きな厚い掌が、

腰回りを優しく撫でるので

私はもう何も言えなくなった。




当たり前だが、

彼は至って真剣な触診をしており、

それはその表情から伝わってきた。




杏「うむ。どこも腫れてはいないな。

  ならば創傷が酷いのか」




彼は脇目もふらず、

私の着物の内部にその手を入れようとしてくるので

私は思わず彼の腕を掴んで制御した。



未だ彼の顔は、真剣そのものであった。




杏「もし傷口が化膿していれば、

俺は君を医者に診せる必要がある」




闘志に近いものを宿す彼の瞳に

バッチリと見つめられると

こちらが怯んでしまいそうになるも、


ここで助け舟が入る。





千「兄上!!嫁入り前の女性を

  ぞんざいに扱うことはよろしくありません!!」





……そ、そうだよね、千寿郎さん。


私は今20歳で、杏寿郎さんも同じ歳。



いくら二人とも結婚する予定はないとは言え、

そんな男女二人がこの距離感はおかしいよね。



杏寿郎の右腕の力が急速に弱まるので、

私もそれを掴む手を緩める。




杏「む、傷口を診ることもいけないことなのか!」




いつものように真っ直ぐな瞳は、

今度は迷わずに千寿郎を映し出している。



ゆっくりと彼の腕から降ろされた私は、

色々な衝撃に狼狽えながらも

どうにか自分で立て直す。



そうこうしているうちに、

彼は千寿郎にどこかへ連行されてしまった。






A「……」




急に静まり返った台所で、一人、息を整える。



それから今にも湯気を吹き出しそうな

自分の頬に触れる。




あまり感情は表に出ない方だが、

難儀なことに頬の紅潮だけはうまく制御できない。





釜戸から落ちてしまっていたしゃもじを拾い上げ、

先程のやりとりを思い出していた。

5→←3



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設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎 , 宇髄天元   
作品ジャンル:恋愛
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まるまるもりもり(プロフ) - さねみん推し(だが渋い槇寿郎も好き)さん» たしかにそうですね!そうすぎますね!!!!!書き直させていただきます!的確なご指摘本当にありがとうございます(TT) (2021年3月14日 11時) (レス) id: 1253c02f70 (このIDを非表示/違反報告)
さねみん推し(だが渋い槇寿郎も好き) - すいません・・・「エピローグ」の所、物語の最初なので「プロローグ」の方がいいんじゃ・・・(^_^;) (2021年3月14日 6時) (レス) id: ff085d1bee (このIDを非表示/違反報告)
まるまるもりもり(プロフ) - 凪子さん» 凪子さん、素敵なコメントありがとうございます^ ^ そうですよね!煉獄さんは身分差は気にしない素敵な人ですよね(*^^*) 凪子さんにもっと楽しんでいただけるように、頑張ります!! (2021年3月13日 23時) (レス) id: 1253c02f70 (このIDを非表示/違反報告)
まるまるもりもり(プロフ) - 衣世さん» 衣世さん^^コメントわざわざありがとうございます!とても嬉しいです(^-^)ハッピーエンドになるように頑張りますね!! (2021年3月13日 23時) (レス) id: 1253c02f70 (このIDを非表示/違反報告)
凪子(プロフ) - 身分の差…煉獄さんは気にしないと思いたいです!展開を楽しみにしています(^^) (2021年3月13日 8時) (レス) id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わたあめ | 作成日時:2021年3月12日 20時

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