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5年前







ーAsideー





要は、背伸びをしすぎていたということだ。


そういうことだ。




私は悶々としながら、屋敷内で仕事をこなしていた。




途方もない程長い渡り廊下に雑巾掛けをしながら、

途方もない気持ちになっていた。




ファーストキス未遂事件から4日経った昼下がり。



彼は4日間ここへ戻ってこない。




長期任務なので、

いつものように今日か明日には帰ってくるだろう。





そう考えると、思い出さずにはいられなかった。





A「…」





気がつけば、台所の前まで雑巾掛けが進んでいた。


顔をあげ、台所を眺める。





いつもよりガランとしたそこは

外からの風が吹き抜けていた。




ここであったことを思い出すたびに、

体の内側が熱くなる。




私は杏寿郎のことが大好きで、

この身も心も全部投げ出せるほど愛している。




A「っ……」





欲 情に燃え上がったような彼の瞳を思い出して、

私は息を詰まらせた。





…正直、妹としか見られていないと思っていた。




それ以上の関係を、

私は強く望んでいたわけではない。





ただ、彼のそばに居れれば

それだけで十分だと思っていた。




それでも、

あんな風に彼が私を求めてくれるなら

それに応えたいと思った。





A「……」





どうしようもない気持ちを

両手を強く握り合うことで発散する。





4日前、彼はここで確かに

私に口づけをしようとした。





もし、少しでも彼が

私に対してそんな気持ちを持ってくれているのなら。




もし、もう少し

彼に触れることが許されるなら。



もし、彼とのこれ以上の関係を望んで良いのなら。





A「どうしよう……。

  …死ぬほど嬉しい……」





私の手から滑り落ちた雑巾は

静かに床に落ちる。





私は慌ててそれを拾って、

再びフローリングの木目に沿って

雑巾をかけていく。





…叶うなら、もっと彼に触れてみたい。


…叶うなら、



A「もっと愛されたい…」



精神的にはもちろん、

肉体的にも、だ。





止められない感情をどうにかコントロールしようと、

床を拭く手にありったけの力を込めた。





背伸びしてでもいい。

触れてみたい想いが、15の無垢な私にはあったのだ。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎 , 宇髄天元   
作品ジャンル:恋愛
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まるまるもりもり(プロフ) - さねみん推し(だが渋い槇寿郎も好き)さん» たしかにそうですね!そうすぎますね!!!!!書き直させていただきます!的確なご指摘本当にありがとうございます(TT) (2021年3月14日 11時) (レス) id: 1253c02f70 (このIDを非表示/違反報告)
さねみん推し(だが渋い槇寿郎も好き) - すいません・・・「エピローグ」の所、物語の最初なので「プロローグ」の方がいいんじゃ・・・(^_^;) (2021年3月14日 6時) (レス) id: ff085d1bee (このIDを非表示/違反報告)
まるまるもりもり(プロフ) - 凪子さん» 凪子さん、素敵なコメントありがとうございます^ ^ そうですよね!煉獄さんは身分差は気にしない素敵な人ですよね(*^^*) 凪子さんにもっと楽しんでいただけるように、頑張ります!! (2021年3月13日 23時) (レス) id: 1253c02f70 (このIDを非表示/違反報告)
まるまるもりもり(プロフ) - 衣世さん» 衣世さん^^コメントわざわざありがとうございます!とても嬉しいです(^-^)ハッピーエンドになるように頑張りますね!! (2021年3月13日 23時) (レス) id: 1253c02f70 (このIDを非表示/違反報告)
凪子(プロフ) - 身分の差…煉獄さんは気にしないと思いたいです!展開を楽しみにしています(^^) (2021年3月13日 8時) (レス) id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わたあめ | 作成日時:2021年3月12日 20時

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