46 ー杏寿郎sideー ページ49
5年前
ー杏寿郎sideー
恋なのか。
好きなのか。
そんなことは何度も自問自答した。
わからない。
それでも一つ確かなのは
あの彼女の欲 情した顔を
他の男には見せたくないということだけだった。
森林を抜け、竹林に差し掛かる。
目指す村へはもうすぐだ。
この竹の匂いがそう俺に教えてくれる。
スピードを落とすことなく
俺は走り慣れた竹林の中を
するすると通り抜けていく。
…Aのあんな顔、初めて見た。
妹のような存在だったはずなのに、
もう戻れない予感さえする。
あの時、俺の本能は確かに叫んでいた。
「Aが欲しい」と。
戻れない線を越えさせようとするのは、
間違えなく
俺の男としての本能だった。
杏「っ!?」
そこで感じたあまりに衝撃的な事実に、
俺は呼吸も乱しそうになる。
…間違えない、感じる。
鬼の気配だ。
そう心で呟いた俺は、
この近くにいる鬼の気配を掴むことに
全神経の集中を注ぐ。
もしAに何か遭ったら。
そんなことを考えると
焦ってうまく気配に集中できない。
不甲斐ない。
止まらない冷たい汗を拭って、瞳を閉じる。
…集中。
標的は随分とこの辺を歩き回ったのか
四方八方に鬼の残した気配が取り巻いている。
…落ち着け。
…落ち着いてくれ。
祈るような気持ちで精神統一を図って、1分。
ようやく鬼の現在地を
ある程度予測することに成功した。
俺は寸分の狂いもないように
その方角へと走り出す。
杏「…Aっ……」
もうわかった。
今回の一件で
俺は痛いほどわかった。
この任務、生きて帰れたら。
彼女が無事にあの屋敷で
俺の帰りを待ってくれていたら。
俺はあの時の続きをしようと思う。
俺の気持ちはもうわかった。
十分なくらい。
今でもAの声が聞こえるほどに。
だから答え合わせをしよう。
…A、
俺は君の気持ちを知りたい。
しかしそれより前に、この気持ちを伝えたい。
戻れない一線を、君と超えてみたい。
もうすぐそこまで近づいた鬼の気配に
俺は、刀を鞘から抜いた。
こんなに誰かを守りたいと思ったのは
初めてだった。
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まるまるもりもり(プロフ) - さねみん推し(だが渋い槇寿郎も好き)さん» たしかにそうですね!そうすぎますね!!!!!書き直させていただきます!的確なご指摘本当にありがとうございます(TT) (2021年3月14日 11時) (レス) id: 1253c02f70 (このIDを非表示/違反報告)
さねみん推し(だが渋い槇寿郎も好き) - すいません・・・「エピローグ」の所、物語の最初なので「プロローグ」の方がいいんじゃ・・・(^_^;) (2021年3月14日 6時) (レス) id: ff085d1bee (このIDを非表示/違反報告)
まるまるもりもり(プロフ) - 凪子さん» 凪子さん、素敵なコメントありがとうございます^ ^ そうですよね!煉獄さんは身分差は気にしない素敵な人ですよね(*^^*) 凪子さんにもっと楽しんでいただけるように、頑張ります!! (2021年3月13日 23時) (レス) id: 1253c02f70 (このIDを非表示/違反報告)
まるまるもりもり(プロフ) - 衣世さん» 衣世さん^^コメントわざわざありがとうございます!とても嬉しいです(^-^)ハッピーエンドになるように頑張りますね!! (2021年3月13日 23時) (レス) id: 1253c02f70 (このIDを非表示/違反報告)
凪子(プロフ) - 身分の差…煉獄さんは気にしないと思いたいです!展開を楽しみにしています(^^) (2021年3月13日 8時) (レス) id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わたあめ | 作成日時:2021年3月12日 20時