無感情82 ページ34
長谷部side
自分に正直になれ、だと?
「巫山戯るな。俺はいつだって自分に正直だ」
「違うから言っているのでしょう。
…僕は、この審神者になら、絆されても良いと思ってますよ」
前任に靡く様子の一切無かった宗三が、まさか。
「それはお前だけだろう、宗三」
「いいえ、少なくとも僕とお小夜、それに兄様はそう思っています。
貴方も、分かっているんじゃないですか?」
「…何をだ」
「今更しらばっくれても無駄ですよ。
いつまでくだらない意地を張るつもりです」
俺はてっきり、此奴は審神者そのものを忌み嫌っていると思っていたが、どうやらそれは俺の思い違いらしかった。
まさか、此奴がこの審神者を主とするとは。
「…なんです、その顔」
「いや…まさかお前が、この審神者を主とするとはな」
「彼女だけですよ」
俺は宗三に訝しがられるぐらいには、顔に出ていたらしい。
だが、こればかりは顔に出てしまうのも仕方が無い。
だってそうだろう。どの審神者ですら取り合って来なかった此奴が、この審神者に限ってはその限りでは無いと言う。
「藍さん。僕は貴方を主と認めましょう」
宗三のその一言に、けれど審神者は相も変わらず表情を変えない。
…全く持って、何を考えているのか見当もつかない。
「貴方からは、僕達に対して危害を加えようという意思が感じられない。
同じ事を、兄様やお小夜も思っている筈ですよ」
『…今はそうでも、私がいつかは貴方方に手を上げるとは、思わないんですか』
「ええ、思いませんね。
僕、これでも人を見る目はある方だと思っているんです」
宗三はそこで言葉を区切ると、俺に視線を寄越してから、また審神者の方を向いた。
何故宗三が態々俺に視線を寄越したのかも分からなければ、審神者が宗三のその様子に気付いているかも、俺には分からない。
「それにそこの堅物が、無意識とは言え、貴方を主と認めている」
「誰が堅物だ」
「事実でしょう」
待て、それを言うためだけに俺を見たのか。
「僕としては、それだけで貴方は主たる人だと思いますよ」
「兄様…」
「お小夜も、そうでしょう?」
「…うん。ねえ、審神者さん。
僕は貴方に、僕の、そしてこの本丸の、主になって欲しいと思ってる」
『…こんな私で良ければ、よろしくお願いします』
俺の目の前で、たった今、新たな主従関係が結ばれた。
…俺もいい加減、腹を括らなければならないか。
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琴葵(プロフ) - 面白くてイッキ見しました!!!!!!!!!!!!!!更新応援しております!!! (2019年12月26日 10時) (レス) id: 35f7e92960 (このIDを非表示/違反報告)
まと(プロフ) - はじめまして。とても面白かったです!更新頑張ってください! (2019年8月8日 21時) (レス) id: 0ae277004f (このIDを非表示/違反報告)
詩月(プロフ) - レモンさん» レモンさん、初めまして!有難うございます!そう言って頂けて嬉しい限りです´`* (2019年1月30日 18時) (レス) id: 47903b2cc4 (このIDを非表示/違反報告)
レモン(プロフ) - 初めまして、最初から読みました、とても面白かったです (2019年1月30日 16時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:詩月 | 作成日時:2019年1月27日 0時