無感情63 ページ15
乱side
話している間にも、少しは主さんに何か食べてもらって欲しくて。
近くにいた薬研に作ってくる旨を伝えて厨に向かった。
その先で、あの人と出会うなんて想定外だった。
この人が厨にいることが、兎に角意外すぎて。
「何してるの、三日月さん…」
「ん…?乱か。久しいな」
「うん。久しぶり。それよりボクの質問に答えてよ、三日月さん」
「そう急かすな。何、喉が渇いたから茶を入れようと思ってな」
「三日月さんが?」
「あぁ。俺が」
「いつもは燭台切さんとかに頼んでいたのに?」
「俺も自分で茶くらい入れるぞ」
「ふーん…」
あくまでお茶を入れに来た、という体裁を貫くつもりなんだ。
目的がそれだけじゃないことぐらい分かるのに。
でも、三日月さんは、ボクが聞き出そうとしたところで口を割る人ではない。
三日月さんとは長い付き合いだから、それぐらい分かる。
「それで、乱は何故ここに?」
「主さんにお粥を作ろうと思って。
ずっと何も食べてないらしいから、少しでも何か食べて欲しくて」
「ずっと…?」
珍しい。
普段は崩れることのない、感情の読めない笑みを湛えている三日月さんの表情が、普通なら見間違いと勘違いする程の僅か一瞬、崩れた。
でも、何故だろうか。
三日月さんは、
けれど、三日月さん自身は主さんに危害を加えようとは思っていない節がある。
だから、強いて言うなら、三日月さんは中立であるはず。
けれど、今の反応は。
まるで、こちら側であるかのよう。
前から食えない人だと思ってはいたけれど、三日月さんがどういう思いでいるのか、益々分からない。
「三日月さんは…」
「うん?どうかしたか?」
「…ううん。なんでもない」
三日月さんは、主さんのことをどう思っているのか。
一瞬聞きかけたけれど、聞いたところでその答えが返ってくるとは思えない。
だったら、聞くだけ無駄だろう。
ボクはそう判断して、聞きかけたそれを、なかったことにした。
「邪魔したな、乱」
「ううん。ボクの方こそ」
あれから、三日月さんはお茶を入れて、ボクはお粥作りに取り掛かった。
勿論、お茶を入れる事の方が早く終わる。
三日月さんは、さっきの一言をボクにかけてから、厨から出ていった。
「あの時の俺の判断は、間違っていたのか…?」
と、三日月さんが呟いていたなんて、ボクは知る由もなかった。
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琴葵(プロフ) - 面白くてイッキ見しました!!!!!!!!!!!!!!更新応援しております!!! (2019年12月26日 10時) (レス) id: 35f7e92960 (このIDを非表示/違反報告)
まと(プロフ) - はじめまして。とても面白かったです!更新頑張ってください! (2019年8月8日 21時) (レス) id: 0ae277004f (このIDを非表示/違反報告)
詩月(プロフ) - レモンさん» レモンさん、初めまして!有難うございます!そう言って頂けて嬉しい限りです´`* (2019年1月30日 18時) (レス) id: 47903b2cc4 (このIDを非表示/違反報告)
レモン(プロフ) - 初めまして、最初から読みました、とても面白かったです (2019年1月30日 16時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:詩月 | 作成日時:2019年1月27日 0時