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貴女
.
「今日はありがと」
蓮「別に。じゃあまた明日な」
「うん」
繋いでいた手を離して、家へはいる。
口には少しコーヒーが残っていて、なんとなく…変な感じ
私は苦くてコーヒーなんて飲まないから余計違和感だ。
「ただいま」
玄関にいれば見覚えのある靴。
学校の時下駄箱で見る靴だ。
母「おかえり〜辰哉くんきてるわよ」
「え」
母「ご飯は？」
「た、食べる！！」
リビングからはお母さんとお兄ちゃんの笑い声。
私は焦って自分の部屋にいった。
髪を梳かして、私服に着替える。
お兄ちゃんが好きそうな短いパンツとTシャツ。
こんなこと意味ないのに夢を見て気にしてしまう。
階段を降りれば食卓にはラーメンとサラダ。
深澤「A！ラーメンだよ大好きだもんなラーメン」
「うん、好き！」
お兄ちゃんがラーメン好きだから私も好きなんだよ。
それだけだよ。
深澤「Aは性格丸くなったよね〜
学校で時々みててもそう思うよ」
ああ、見ててくれてるんだそれだけでも本当に嬉しかった。
母「そうかしら？相変わらずキツい性格のままよ〜
わがままだし、辰哉くん来てる時だけよ」
深澤「え、そうなんですか？笑」
「……」
辰哉「ははっ！そうなんですね〜！」
ああ、気分が悪い
好きな人の前で着飾るのは正直女だから仕方がない、
いや、女に限らず恋する人なら誰でもそう。
相手に綺麗な部分を見せたいのにそれを邪魔する人は私は嫌い。
それに対して笑うお兄ちゃんはどう思っているのだろう。
「ご馳走」
深澤「え！たべねえの？」
「もういい」
深澤「残したらダメだよこんなに美味しいしおばさんせっかく作ってくれたんだから」
「……なにそれ笑美味しくなかったら残していいの？」
深澤「そーゆーことではないっ！」
先生は普通はめんどくさいことをいう。
食べ物に感謝しろーとかくだらないこと
お兄ちゃんはそれを言わない。
深澤「…俺さAの昔の性格好きだったよ。
周りを寄せ付けない感じとかかっこよくてさ〜」
「…先生だったらみんなと仲良くしろって言うんじゃないの？笑」
深澤「あはっ、また教師らしからぬことを笑」
"好きだったよ"
その言葉がお兄ちゃんにとっては意味のない言葉でも私の胸はドキドキしていた。
悔しいな
こんな繊細な言葉で救われた気分になるなんて
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作者名：嶺 | 作成日時：2022年2月4日 23時
