本懐《黒》 (ページ5)

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貴女

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「おっ、A！はよ！」

「おはよう、"お兄ちゃん"」

職員室に顔をのぞかせばこの時間は先生1人。

「あ！学校では"深澤先生"だろ」

「そっちこそ名前で呼ばないでよね」

深澤「そうじゃん！"佐野さん"だったな！
やっぱり小さい頃から見てるからなあ〜難しいな！」

距離のある苗字呼びへと変わってしまう悲しさ。

お兄ちゃん……というなの深澤辰哉先生は私たちの副担任の先生であり私の近所に住むお兄ちゃん。

みんなに弄られているけど優しくて、かっこいい。

「頑張って先生になったんだからちゃんとしないとクビだよ〜！」

深澤「…そうだな！ありがとな！なんかの用事？」

「ううん、お兄ちゃんいるかな〜って！」

深澤「ふはっ、可愛いやつだな笑」

"可愛い"そんな甘い言葉でまた私を引き込む。

持っているファイルで私の頭を小突いて、撫でる。

三井「ふかざわせんせ＿＿＿＿＿＿＿」

深澤「……！み、三井先生！」

甘ったる声がすればそこには私たち二人の時間を終わらせる悪魔。

国語教論の三井遥先生。

三井「あら、おはよう佐野さん」

「……おはようございます」

深澤「み、三井先生！用事ですか？！あさはやいっすね」

三井「これ、深澤先生のですよね？たくさんメモあったからもしかしてって思って」

ファイルを渡す時わざとらしくお兄ちゃんの親指と触れる。

深澤「あ！！すみません、！」

そんな戦略に負けるお兄ちゃんは赤くなって、過剰反応。

そんなの三井の思うツボなのに

ああ、そんな至近距離にいないで、やめてやめて

見るに耐えられない私は職員室を出ていった。