本懐《黒》 (ページ21)

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貴女

"席は佐野さんの隣"

お兄ちゃんに言われて初めてみた転校生。

お兄ちゃんは男と私が隣でもいいんだね。

どうでもいいし、席の隣とか小さいことでイラつく私。

女の子との会話をチャイムの合図で終わらせ、いやいや席に戻ればまたマシンガントーク。

佐久間「あの子目黒くん？だっけ！彼氏〜？？」

「うん、そうだよ」

彼氏………なのだろうか。

この関係は想像でしかないんだから

私の中での蓮は大好きな"お兄ちゃん"当然で

蓮の中の私は大好きな"三井遥"でしかない。

佐久間「へえ〜！かっこいいね！」

「…でしょ？私(三井遥)にはもったいないくらい」

三井「みなさん授業はじめますよ〜」

佐久間「俺まだ授業資料揃ってないんだ見せてよ」

「………うん、いいよ」

蓮が嫌いとはいってもこの授業はどうせ私のことを見やしない。目の前の女が三井遥だから

三井「前回の続きでワークを解きましょう！」

三井「…佐野さん、わからないところある？
前回だいぶ詰まってるように見えたから…」

「………」

長い髪

だっさいベージュのカーディガン

わざとらしいくらいのシャンプーの香り

控えめのナチュラルメイクに

胸元に注目して欲しいようなゴールドのネックレス。

なに……私こんな女に負けたわけ？

「…いえ、前回は眠くて…今日は大丈夫ですよ。わかります」

ああ、腹立つ。むかつくなあ

佐久間「せんせー、俺転校生でまだ分からないので教えて貰っていいですかー！」

明るい隣の席の佐久間くんも、お兄ちゃんの隣にたつこの女も、愛想振りまいてでさえ負ける私も
こんなわかりやすい女に落ちる蓮も

全部全部、腹立つ

佐久間「……」