本懐《黒》 (ページ14)

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蓮「今日、ラウールたちと帰っていい？」

「うん、いいよ」

蓮「じゃあ明日駅で」

「うん、また明日」

窓際の彼女の席。

一緒に帰れないと伝えたついでに帰る準備をしていたAの額にキスをした。

誰もみてない…見ていてもいいけど

廊下に出れば康二は恥ずかしそうにしていて

ラウールは呆れた顔をしていた。

こんなことしかできない

毎日、毎日、確かめ合うようにして触れ合う。

それでも1人でいるより、1人で抱えるよりずっとマシ。

＊「いいの？目黒くん」

「今日は友達と帰るって言ってたからフルーツパフェでも食べて帰ろうよ」

向井「ええ彼女さんやなあ」

ラウール「普通の女はキーキー言うのにね。一緒に帰るーとか」

蓮「あいつはそんな女じゃないんだよ」

そこらへんの女とはあいつは違う。

向井「佐野さん彼女とか鼻高いな！！雑誌にも取り上げられたんやろ？」

ラウール「中学の時から美人だったしね。よくモテた」

向井「同じ中学ええなあ！！」

ラウール「話したことないけどね」

向井「なんやねん」

いくら康二が羨ましがってもAは康二に目を向けることは一生ない。

友達…としてもきっとない。

あいつは先生にしか興味はない。
もちろん俺も遥さんだけ。

俺らの関係は"相手を想像するだけの関係"

そこに恋心はないから嫉妬もくそもない。

ラウール「ねえ唐揚げ食べない？」

向井「あそこの山盛りのやつやろ？！」

蓮「俺も食うけどお前ら残すなよギブすんなよ笑」

きっと想像するだけの関係は

先生や遥さんにとっては関係ない。

2人の関係が発展していく限り俺たちの関係がプラスになりゼロになるわけではない。

むしろ依然としてマイナスのままだし

わかっている、わかっているのに

どうしても触れて彼女を必要としてしまう。

ラウール「めめ？置いてくよ〜？」

蓮「おう、今行く」

好きではないのにしょっちゅうキスやらハグやら

遥さんに見立てたあいつに俺は依存しているのかもしれない。