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その点、こいつは裏切らない。
「……おは」
炭酸飲料を持ちながら玄関にお出迎えしてくれる。
短いスカートのまま、しゃがんでおれにスリッパを出す。
なかなか際どい。
こんな姿を先生はどんな気持ちで見ているのだろうか。
俺の持ってきた麦茶と菓子をキッチンで皿に移してくれるAを横目に俺はソファに座った。
蓮「こんな土曜の真昼間から呼び出すなよ。今日サッカー日和なのに」
「だって夜はお母さんいるもん」
蓮「別に良くね？」
「だめ。お母さん口軽いから全部お兄ちゃんに言っちゃう」
コトンと俺の前に置かれた飲み物と菓子。
喉がかわいていた俺は麦茶を流し込み菓子を口にいれた。
蓮「……ええ、そのうちバレるだろ」
俺たちの付き合ってることは学校では隠していない。
それにあんなにみんなに騒がれてれば先生の1人や2人知っててもおかしくないだろ。
蓮「…どうせバレても応援されるだけだろー
おめでとー彼氏できたんだーとか」
「……もう、やめてよ」
本気で嫌がって俯くA。
俺の隣に座って、小さく蹲った。
「………やだ」
蓮「……もうやめてんじゃん。」
「…うん」
蓮「…菓子全部食べたし、お茶、のみほした。」
「え、はや」
蓮「………部屋行こう」
「………」
蓮「だめ？」
深澤先生は課題を集める時とかAにものを頼む時、こうやって首を傾げる。
そうすれば
「……ダメじゃない」
こいつだって断れなくなる。
女の体は暖かい、それに柔らかい。
心よりずっと優しくて
そのに在るものが俺たちを癒し、満たす。
触れて、触れられて初めて自分の形がわかる。
そうやって確かめないと俺たちはすぐ自分を見失う。
ぐちゃぐちゃになってすぐ分からなくなる
蓮「………A、」
「……蓮くん」
お互いがお互いの好きなもの。
蓮「……遥さん、」
「……おにい、ちゃん、」
温もりが縋っても諦められないものがある＿＿＿＿
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作者名：嶺 | 作成日時：2022年2月4日 23時
