検索窓
今日:6 hit、昨日:1 hit、合計:17,569 hit

エピローグ ページ35

第一ゲームが終わり、Aを先頭に、A、四部、天智、ゆとりの四人で、第二ゲームの会場へ向かっていた。友一と志法は、後から来るみたいだ。

一緒に歩いていたハズなのに、いつの間にか、Aは一人で歩いていた。後ろを見ても、誰もいない。置いていってしまったようだ。

大きいため息を吐き出す。口を開けば、ため息しか出てこない。

裏切り者がいることが発覚してしまったから。

でも、友一とゆとりはシロだ。リスクを背負って、ゲームクリアに導くことは裏切り者のすることじゃないから、友一はない。借金全額を背負わされそうになったゆとりは、むしろ被害者だ。


——本当にそうか?


人は誰しも、仮面を被って、本性を隠しながら生きている。

善人の皮を被った悪人、被害者ヅラをした裏切り者……そんなもの、珍しくもない。


Aも、その部類に入るのかもしれない。


困ってる人を助ける信条を持ってはいるが、それは、本当にその人を助けたいわけではないのかもしれない。

友達だった“あの子”……彼女を救えなかった。彼女は中学生の時に亡くなった。しかも……自ら命を絶ったのだ。

せめてもの罪滅ぼしのつもりで、人助けをしている。今救える人を一人でも多く助けて、あの子を救えなかったことの後悔を埋めようとしている。あくまでも、自己満足。

——でも、みんなそうでしょう?

自分の行動の裏には、何か、自分の利益が入っている。そうじゃないと、人間は行動なんてできない。


僕ら六人も、例外じゃない。


六人はそれぞれ、仮面を被って、自分の本性を隠して、それぞれの『日常』を過ごしている。

この先のゲームで、化けの皮が一枚、また一枚と剥がされていくかもしれない。品行方正のあの子が、大人しいあの子が、正義感があるあの子が、おちゃらけてるあの子が、友達思いで優しいあの子が。


その肩書きが、崩れるかもしれない。


——六つの仮面、六つの本性、か。


Aは再び大きいため息をついた。

その時、四部の自分を呼ぶ声が聞こえて、振り向いた。「あ、ごめん! 先行っちゃってたね」と、急いで作ったほほ笑みで応じた。


第二ゲーム。その先にあるのは、救済か、それとも——破滅か。


まあ、どうせ破滅だろうけど。でも、なぜだろうか。


まだ、みんなを信じていたい、自分がいるんだ。



——fin

あとがき→←18



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.3/10 (24 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
45人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:momonoha | 作成日時:2022年8月24日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。