エピローグ ページ35
第一ゲームが終わり、Aを先頭に、A、四部、天智、ゆとりの四人で、第二ゲームの会場へ向かっていた。友一と志法は、後から来るみたいだ。
一緒に歩いていたハズなのに、いつの間にか、Aは一人で歩いていた。後ろを見ても、誰もいない。置いていってしまったようだ。
大きいため息を吐き出す。口を開けば、ため息しか出てこない。
裏切り者がいることが発覚してしまったから。
でも、友一とゆとりはシロだ。リスクを背負って、ゲームクリアに導くことは裏切り者のすることじゃないから、友一はない。借金全額を背負わされそうになったゆとりは、むしろ被害者だ。
——本当にそうか?
人は誰しも、仮面を被って、本性を隠しながら生きている。
善人の皮を被った悪人、被害者ヅラをした裏切り者……そんなもの、珍しくもない。
Aも、その部類に入るのかもしれない。
困ってる人を助ける信条を持ってはいるが、それは、本当にその人を助けたいわけではないのかもしれない。
友達だった“あの子”……彼女を救えなかった。彼女は中学生の時に亡くなった。しかも……自ら命を絶ったのだ。
せめてもの罪滅ぼしのつもりで、人助けをしている。今救える人を一人でも多く助けて、あの子を救えなかったことの後悔を埋めようとしている。あくまでも、自己満足。
——でも、みんなそうでしょう?
自分の行動の裏には、何か、自分の利益が入っている。そうじゃないと、人間は行動なんてできない。
僕ら六人も、例外じゃない。
六人はそれぞれ、仮面を被って、自分の本性を隠して、それぞれの『日常』を過ごしている。
この先のゲームで、化けの皮が一枚、また一枚と剥がされていくかもしれない。品行方正のあの子が、大人しいあの子が、正義感があるあの子が、おちゃらけてるあの子が、友達思いで優しいあの子が。
その肩書きが、崩れるかもしれない。
——六つの仮面、六つの本性、か。
Aは再び大きいため息をついた。
その時、四部の自分を呼ぶ声が聞こえて、振り向いた。「あ、ごめん! 先行っちゃってたね」と、急いで作ったほほ笑みで応じた。
第二ゲーム。その先にあるのは、救済か、それとも——破滅か。
まあ、どうせ破滅だろうけど。でも、なぜだろうか。
まだ、みんなを信じていたい、自分がいるんだ。
——fin
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作者名:momonoha | 作成日時:2022年8月24日 18時