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場所は変わって、監視室。そこには、三人の人間が居た。ディスプレイの前の椅子に座る、さっきルール説明をした女——如月ハル。映像を面白そうに見る、若い女——水瀬マリアだ。そして、あの中年の男——布袋。
「自分のことしか考えないヤツと、友達でいられるか？」
布袋が不意に問いかけた。誰に問いかけたか明確ではなく、横にいたマリアは、何か言えばいいか、と返答を考えてみる。すると、
「いられませーん！！」
妙に元気な返事がした。振り返ってみると、眼鏡をかけた若い男がいた。
別にびっくりしたわけではないが、見覚えなのないその顔に「わっ」と声を漏らす。
「あ、ご挨拶遅れました。今日からお世話になります、新人の火室ノベルです」
敬語だが、口調は砕け、親しみやすい雰囲気があり、悪く言えば、礼儀さがなっていないように見える。火室は頭を下げた。
「ノベル？」
「兄貴、この片切友一ってヤツ、どうしますか？」
兄貴呼ばわりとは、後輩としてどうなのだろうか。布袋は気難しい顔をしながら、口を開く。
「コイツは金を選ぶ」
「マジっすか？」
「人間ってもんは、みんなが我慢してる時は自分も我慢できる。しかし、自分だけが我慢を強いられると、我慢なんてできない生き物なんだよ」
火室はマリアの方へ視線を向ける。目があったので、マリアは「そういうこと！」と、布袋の意見を強調した。
＊
友一は問題文を見ながら、どうするべきかを考えていた。
簡単な問題を出し、NOを選べば、自分の借金が半額になる。
でも……。
友一は少しだけ振り返って、ゆとりとAに視線を向けようとした。
俺が考えなきゃいけないのは——あいつらのことだ！
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作者名：momonoha | 作成日時：2022年8月24日 18時
