緑色さんの憂鬱 6

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向井Side




向「阿部ちゃん、そしたら今度虫歯さん治していくな。」

阿「ぅあ、うぅ…泣」




これからされることを察してか、

おちついてた阿部ちゃんは涙目に逆戻り。




向「まずは、痛いのなくす麻酔するな。

これはちくんと痛いけど、泣いちゃっていいから頑張ろな。




その後、うぃーんって音するやつで削んねん。

麻酔を頑張れば痛くはないけど、最後深いとこだけちょっと痛みが出るかもしれへん。」




阿「いたい、の、やだぁ…泣」




ふっかさんの手を白くなるくらい握りながら、静かに泣く阿部ちゃん。

それでも、椅子から逃げようとしないだけ成長やな。




向「もし痛くて動いちゃうなってなったら、

ベルトで留めることもできるけど…怖いやろ？」




阿「ん、やだ！やめて…！泣」




もちろん、安全のためにはベルトで固定するのが最善なんやけど、

阿部ちゃんの場合、トラウマが再燃して尚更暴れちゃうことも想定されるから、あんま使いたくないねん。




向「阿部ちゃんができるよーってなった時でいいから、

ここもっかいごろんできるかな。」




俺がそう言うと、阿部ちゃんは俺とふっかさんを交互に見て、

しばらく泣きそうな顔で唸っていたんだけど、




ふっかさんが「大丈夫、できるよ。」って言ったあと、

ようやく覚悟が決まったみたいで、椅子にもたれかかった。




向「お、偉いやん。

阿部ちゃんがやだーってなったら、休憩もできるからな。




じゃあ、ちょっと一緒にがんばろな。」




そう言って椅子を倒したら、不安そうな顔がぐしゃっと歪んで、

両目からぽろぽろ涙がこぼれ落ちる。




そりゃあ、不安よなぁ。

すぐ終わらせるから、ちょっと頑張ろな。

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