美しき天才小説家【名探偵コナン】

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貴方side






どうやら、私達はトリップというものをしたらしい。











トリップ…………本でしか読んだことない展開だ。






まさか自分が経験することになるとは。
しかも、気付かないうちに。















橋屋は気付いていない。









否、気付いていないというより、
彼は「名探偵コナン」の存在を知らない。














簡単に言うと、私達は「名探偵コナン」の中に住む
住民になってしまっているのだ。


















トリップしたことに気付いているのは、恐らく私だけ。








私の名前も、作品も。
全てこの「名探偵コナン」の中のものになっている。


















……………………なりきるしかない、か。
























高木「─────── あの、白樺さん。
それで、貴方は犯人ではないんですよね…？」













前に立っていた高木さんに声をかけられて、
意識がハッとした。











『……、はい』


コナン「手首の縛り方は、白樺先生が書いた
“粗悪”の黒幕と同じ縛り方だったよね」


『うん。私、それしか知らないから』








ていうか、白樺先生？
なかなか小っ恥ずかしい呼び方だな。















高木「では、白樺さんが犯人という可能性は薄いですね……」


橋屋「薄いというより透明ですよ」






なんか一人おかしいぞ？？？










コナン「僕も、白樺先生は人を殺したりしないと思うな」


『え、待って。………あの事件、人が死んだの？』


コナン「うん。一人、女の人が撃たれちゃったんだ」









衝 撃 の 事 実 。











耳を疑った。
が、私にはそうなんだとしか言えなかった。















コナン「………………ねぇ、」


『ん？』


コナン「その、……驚いたりしないの？」


『？ 驚いたよ？』


コナン「そんな風には見えなかったけど、、」


『あぁ、表情が乏しいからね』


コナン「そ、そうなんだ……」








コナンくんは引き攣った笑顔のまま、
何故か黙り込んでしまった。





どうした。

















橋屋「…………」










そんな様子を見つめる男が、一人。





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