悪女様のオトし方【童磨】 (ページ7)

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童磨side

童「……勘のいい子だなぁ。
…まぁ良い。その時が来たら、その時さ。」

三日程前に「A」
という若い女の子がこの万世極楽教に訪ねて来た。

信者になりたいと言うので入信を許可して施設内に住まわせているのだがAは…
妙に勘が鋭い。

いつも何かに怯えているような気がする。

そして、他人に対して警戒心が人一倍強い。

俺はもちろんのこと他の信者に対しても誰一人として心を開いている存在は居ないように見えた。

極め付け…と言ってはまだ早いのかもしれないけど、さっきの事は俺にとって久々に楽しい会話だった。

だって、嘘をつきながら相手を騙すのって楽しいじゃない。

人間はすぐに騙せるものだと思っていた。

けれどAは一筋縄ではいかないだろう。

あの子からは他の信者のような雑念は感じられない。神も仏も、天国も地獄も信じていない自分だけを信じているような、そんな気がした。

それに加え薄々気付いていた。

Aはきっと鬼狩りだ。

俺に向けられるAからの視線はどれも殺気と疑念を孕んだ眼差しで、瞳の奥底からは鬼に対する嫌悪感がひしひしと伝わってくるのだ。

童「…はは、良いじゃないか。

反抗的な獲物程…燃えるものはない！」

バサッ、と扇を開くと、線香の日は消えてしまった。
線香の煙たい香りが鼻先を刺激する。

…さぁ何日居てくれるんだろう。

殺意を向けるAとは対照的に俺の内心は満たされていった。

＊