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童磨side
童「………?」
襖の奥に人影が見えた気がした。
しかし俺が振り向く頃にそれは消えていた。
……別に構わないけど。
俺が人間を喰べている事を知ってしまった信者は過去に何人…何十人…何百人と居る。
そして皆、俺を恐れて逃げていく。
逃げ切れた者は居ないけれど。
先程見た人影がこの施設内に居る誰かであれば明日、また一人居なくなるだろう。
そうとなれば新しい信者を入信させなくては。
童磨「…うーん、やっぱり女の子は格別に美味しいなぁ。」
なんて、今さっき殺した信者の女の肉を貪りながら呟いた。
俺が「夜に特別な話がある」と声を掛けると、その女は心底嬉しそうな顔で倉庫へ駆け付けた。
女は終始笑顔だった。
笑顔の裏に、欲望の色が見えた。
きっと何か勘違いをしていたんだろう。
誰からも愛されず、誰からも救ってもらえなかった可哀想な娘だ。俺に依存していた事も分かりきっていた。
優しく抱き寄せ、距離が近くなった瞬間に女の体を強く抱きしめた。……骨が砕け散る程に、一瞬しか痛みを感じないように。
可哀想な娘だった。
だから、なるべく苦しまないように殺してあげた。
また一人…
俺の一部となって生きられる信者が増えた。
…ふと部屋の隅に赤い髪飾りが見えた。
誰のものだっただろう……
……Aだ。
昼間にでも忘れたのだろうか。
毎日これを付けていた気がするので、無いと困ると思う。Aの部屋の前へそっと置いておこうか。
障子越しに薄い月明かりで照らされて寝ているAの横顔が確認出来た。
*
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雰囲気ピーマン!(プロフ) - 続きすんごい気になります…更新頑張ってください! (2020年3月12日 6時) (レス) id: 90d8910699 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小鳥遊未來 | 作成日時:2020年3月11日 23時