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Aside
お「Aに落ち度はない。…滅すべきは、憎き鬼さ…」
優しげな安心感のある、透き通ったお声のお陰で私の心は少し落ち着いた。
冷たいけど、誰よりも大好きなその手を離したくない。
涙がぽたり、と落ちる。
お館様の着物を汚してしまった。
A「お、館様ッ…
申し訳ございません、お着物を私の涙で汚してしまいましたッ……」
お「それを気にする必要はないよ。…何ともない。私はAのことを大切に想っているから、今こうしているんだ。」
A「…ッ……あ、りがとう…ございますッ…」
やはり、私はこの人が居なくては生きていけない。
この人の姿を見ると、不思議と落ち着き
お声を聞くたびに安心する。
「産屋敷 耀哉様はそう長くは生きられない」
その事実に、何度も何度も悲しみに打ちひしがれてしまいそうだったけれど、生きている限りはこの方の為にも鬼を滅すと決めた。
私は、進まなくてはならない。
A「出来ればずっとこうしていたいです…けれど。私は、前に進まなくてはなりません…
お館様が勇気を…有難いお言葉を下さったから、私は決意する事が出来ました。
二度目の決意は、揺るぎません… 自分に対しても」
お「…うん、それで良い。
とても素敵な選択だよ、A。
…君はあの日泣いていた少女ではなく、もう…強く美しい鬼殺隊の剣士だ。」
A「…過去の自分は全て捨てました…。両親の為にも、お館様の目的に加勢し戦力になる為にも。
本当の事を話すと、今日の対談前まで隠しておくかそれとも全てを打ち明けるのか迷いました。
私は…自分に対して妥協していたのでしょうね、お館様のお言葉で気が付きました。重ねてお礼を失礼します、ありがとうございます…」
お「うん、うん……
今日の時間が君にとって成長の糧となったのであれば…私も、嬉しく思う。
…そうだ、Aはもっと自分を愛して、認めて…辛い時は誰かに助けを求めなさい。」
A「…はい!承知しました。」
預けていた体重を戻す。
その後は、たわいもない話や最近の隊士たちの活躍、産屋敷家のご子息様やご息女様たちのお話までして下さった。
そしてひと段落つく頃には、夕暮れ時が迫っていた。
A「ッ、つい話し込んでしまい、ごめんなさい…
もう日暮れですので私はこれにて…」
お「もう日暮れなのかい?…楽しい時間は、過ぎるのが早いね。…一人で帰るつもりかい?」
*
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もん - とても面白いですっ!!魘夢君好きにはたまらないですね!? (2020年10月22日 17時) (レス) id: d3b3bddaab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小鳥遊未來 | 作成日時:2019年11月25日 21時