家族 ページ39
『ねー！あなたがレベッカちゃん？』
Aがそう叫ぶと、薄桃色髪がキッと睨んだ
『ねえ、そんな怖い顔しないで、あたしあなたの味方だから。2人で話そうよ。片足の兵隊さん。知ってるでしょ』
｢え…なんで｣
キュロスのことを伝えると、怖かった顔が優しくなった
その顔は少女のあどけなさが残っている
｢俺はもう行くからな｣
『ありがと。彼、あなたに会いたいらしい。あたし、彼と友達になった』
｢わ、私はレベッカ｣
『あたしはA』
｢あ…ドフラミンゴが、探してる…｣
レベッカがそう言うと、Aは顔を暗くした
『そう、そのA。見つかれば殺される、きっと』
｢なにが、あったの…｣
『過去のこと。あたしが裏切り者だから。裏切り者を許さないのが、ドフィ』
｢ドフィって…あなた、ファミリーなの？｣
『元。建前だけね』
｢私は、ドレスローザの…いえ、なんでもない｣
『…あたしは』
Aは優しく微笑み、自分の過去について語った
海軍、ドフィ、海賊…
｢私は｣
レベッカはこの国のプリンセスだったが、ドフラミンゴに国を奪われたのだと
『あいつ、つくづくとんでもねぇヤツだなぁ。あたしムカつく』
｢みんなそうだよ、私だけじゃない。私はコロシアムの賞品を手に入れて、ドフラミンゴに復讐するの｣
『賞品？』
｢ええ、メラメラの実｣
『っ…!?』
｢A､?!｣
Aの顔が真っ青になり、呼吸が荒くなり、レベッカが心配して背中をさする
あの記憶が蘇る、あの時の、記憶が、苦しい、嫌だ
もう乗り越えたつもりだったのに
汗が、止まらない
『ごめんねぇ。取り乱した…』
｢ううん。大丈夫？｣
『思い出しただけ』
｢火拳の…こと？｣
『あなたも彼を軽蔑するの』
今まで優しかった目から光がなくなり、獲物を見るように鋭い瞳で睨むA
｢違うわ！だって、彼は、海賊王の息子なだけで、あなたの話を聞く限り、いい人だもの。どうして、彼が殺されたのか、私には分からない…血の繋がりってだけなのに…｣
『そう、良かった。あなたのこと疑っちゃった…ごめんね、家族のことを、馬鹿にされたくないの』
｢家族…｣
Aはキュロスのことを伝えようと思ったが、本当に娘か記憶が曖昧なのに伝えるのはどうかと思い、少し開いた口を閉じた
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作者名：ぽ | 作成日時：2021年8月16日 18時
